故かないまる先生追悼シリーズです
子曰く『圧着とハンダのどちらがいいですか?との質問ですが、どちらも問題ありません、と答えます。アンプの中にはどちらも無数にある。問題が有るわけがない。ようは音のバランスの取り方で、それぞれ音は変わりますが全体としてどうかということですね。』(グル注※まあようは我輩が良く言う残響のf特ですな)
とはいうのだが、他の全ての氏の判断等をみていると『可能ならハンダの方が機械的に安定するよね、つまり音も安定する。なんならハンダは技術力でハンダの音を極少に出来るけど圧着は難しいね』との事。
我輩的には『完全に上手くやればハンダが余程変なものでなければ無になる。てかもう普通の鉛いり標準ハンダでいい。』『圧着ならドチャクソキツく圧着すると無に近づく。QEDのエアロックとまでは言わないが。』と補足しておく。ネジ留めなら機械的振動でどうしても『無』にはならない。が良く言えば少し響きが乗るとも言え悪いとは限らない。
次、ハンダについて
此れを書くのに死ぬ程苦労しました
論文を読みまくり、電顕写真見まくり、吐きそうです。コンサートホール論文はルームアコースティックマニアとして音響の知識が元々強いのでサクサク読めますが金属工学とか結晶構造とかキツイですねえ。オエエエ
かないまる先生の凄まじさは『穴がない』のです。あまりに知識が広いのでそれらを組み合わせ半田づけ一つ凄い。しかも耳も凄まじくスピーカーセッティングの鬼である。エンジニアの理想形でした。
子曰く『日本の製品排除のためEUはハンダなどに含まれる鉛を禁じたために鉛フリーハンダを使わざるを得ないが音が酷く変わる。しかし鉛フリーだと音が悪いのではなくバランスが変わることが問題なだけなのだ。鉛は音をダンプするので無難な音だった。それが無い以上、シビアになる。結局半田は私が音の良い門外不出の半田を開発してSONYの音響機器に使っている』
さて、補足を。
半田は本来鉛とスズで出来ています。鉛は重く、響きが少ないです。(なお比重と響きは関係ない)
そしてスズは非常に響く金属です。
鉛錫半田は溶けて冷やされ凝固する時に鉛が主に表面に析出し、内側は錫がメインになります。鉛が外からダンプする事に依り地味な音になります。
銅が入ると重い低重心な音に(多いと抜けが悪い)銀は明るく、などと振動特性そのままの音がします。
経験的に音の良い半田の条件は『余計なものが入ってないこと。』スズや銀などの純度が大事で、これが高いと非常に澄んだ基礎性能の高い上質な音がします。
最高の半田はaudio creationでしたが無くなりました。南無。他がほぼ全滅でしたね。ヴィンテージハンダもドイツからイギリスまで使ったけど不純物が味わいになるより歪みになってます。現在はいっそ無難な鉛錫半田を使ってますが(技術の方が音に影響するし)良い半田を求めて旅を続けます。
かないまる半田売ってくれねえかなあsonyさんよ
蛇足です。暇なら見てね。
そもそも半田ってどういうことなのか?これをご覧ください
電子顕微鏡写真ですが、ようは錫と銅の合金層を造ることが半田づけなんですね。そしてそれは極々薄い層だけ。他の半田の部分は溶けて固まるときに渾然一体となった合金はバラバラになり、鉛の結晶と錫の結晶が絡み合う世界になります。
鉛の結晶がスズをダンプしてくれるのですな。サンキューダンプ松本
鉛と錫の一般的な共晶半田は上述のような構造になります。
では鉛フリーの半田は音はクソなのか?
そんなこたあない。作り方しだいです。音以前にAgが入ってるとそもそも耐久性は圧倒的に上がりますし。錫のみの半田は非常に脆い。この半島状に喰われた部分が割れてクラックを起こし破断します。
次に引っ張り強度の違いです
半田づけの温度と組成ごとの強度の相関です。錫銀は強いですね!結晶構造が非常に細かく割れにくいんです。そして図でお分かりのとおり温度が高すぎると強度が落ちます。
『キッチリ溶かし、しかし時間をかけすぎない』これが音にも耐久性にも良いんですね。そひて
“ハンダと圧着” への1件のコメント
[…] ハンダと圧着 […]