BBCディップ


といふ物がある。

BBC規格のスピーカーのエンジニアでありharbethの設立者ハーウッド氏が作り出したものだ。

機械翻訳にかけると

こう。

要は『1-3khzあたりを下げると遠近感と深みが出るよ』とのこと。このディップは多くの著名メーカーが採用しており一定数指示されている。

フラットだとアカンのか、とか思うでしょ?これが長く研究してるけどBBCディップが良くわからない。海外でも有識者達が大喧嘩しているトピックだ。

採用してる著名もしくはハイエンドメーカーだとB&W(ほぼ全て)、ソナスファベール(一部)vivid audio、marten etc…

あとオーディオ評論家(柳沢氏とか)はここを下げる(良い音曲線、三ツ山カーブなど)事が多い。

諸説をご紹介するが、いずれも間違いかも知れないし全て正しい可能性も低くはない。

説1 フレッチャーマンソン曲線的な理由

簡単に言えば『人間は3KHzが敏感よ』というお話。説得力が最も高い。

人間は各部で合計した歪みを出音から聴いている。無論アナログ由来デジタル由来、電気的振動的、良い歪み悪い歪みがあるけど。で、嫌な歪みを放逐するのはとても大変。ほとんどの環境、ほとんどの時代に於いて歪みからは逃げられない。そしてEQでの経験上も歪みが高いシステムはこの帯域を下げると何故か確かにあまり気にならなくなる。ので15年前あたりはPEQで下げてた時代もあった。

説2.指向性特性が良くないから

BBCのモニターは元より、採用メーカーの多くはあまり指向特性が良くない。

これはmarten oscar duoというスピーカーだが(どのモデルも大差ない)このようにミッド/ウーハー帯域の上…2khzあたりが指向性が狭くなりその上のツイーター領域から指向性が急に広くなる。こういう状態だと高域が目立って聴こえるようになる。同社のスピーカーはかなりこの傾向がある。B&Wはそれより遥かに極端。

一応書いておくがそんなものは使いこなしで何とでもなる。何しろ我輩のvoxativeは圧倒的速度以外は遥かにグロい測定値だ。ただ使いこなさないといけない、とも言える

で、それらを緩和するために3kHzあたりを凹ませてバランスを取る…なるほど説得力はある。逆にKEFとかドフラットだが鬼の指向特性のお陰か?猛烈にスムーズな音だし、やはり指向性の問題は大きそう?ただしsonusや特にvivid audioは指向特性はかなり優れており『とにかくやる価値がある』と考えているようです。わからん。

説3.ステレオ再生の呪いを気にならなくするため

コムフィルター、という物がある。同じ音を若干の時間差で重ね合わせると周波数が干渉でガタガタになる。例えばABマイク方式でワンポイント録音したものをミックスしてモノラルで聴くとわけわからん音になることがわかる。マルチマイクだと大なり小なりそれが起きてしまう。なのでマイク1本のモノラル時代の録音やambisonic マイクがリアルなのはそこら辺もあるだろう。演算で取り除くのもまあ実際は無理です。l

で、この説だが説得力は低め。

説4 クラシック録音のマイクが天井にあるから

これは有名なフロイドトゥールの説

B&Wは物凄く多くのクラシック専門スタジオで使われている。何故なのか?という議論に対する返答。

マイクは近く、またオケの多くの楽器が上向きに指向性が強いのでこのあたりの帯域を下げた方が良かったのではないか、という説。

ただ説得力は低い。上記のメーカー達は…まあB&Wはおいといて全くオケ主体を想定してるとは言い難い。まあ自説を何とか守りたいトゥール氏は結構無理を言う事が多く苦しい所だ。

フラットさと指向特性は汎用的に使うには非常に大切なことはかなり肯定的な我輩です。当ブログでオススメするスピーカーはそこら辺は良く出来ているものが大半ですが、それは汎用的だから。フラットさと指向特性が大切なことに異論はないがオーディオの大部分である、と拡大解釈しがちなトゥール派はオーディオエアプと思う



BBCディップ(ハーウッドディップ)とはなにか?良くわかりません。ただそう言う属性のスピーカーがある、としか言えません。ただあまり汎用的モニター(EDMからアコースティックまで)にはやはりこういう仕組みはないほうが正しい仕事になるとは思います。


“BBCディップ” への4件のフィードバック

  1. 記事の本題とは外れてしまいますが、高域が目立って聴こえるスピーカーの使いこなしは具体的にはどうするのが良いのでしょうか?
    通常のルームアコースティックに加えて高域の反射音だけを極力減らせるように背面180度を厚手のカーテン等で吸音マシマシにするとかですかね?

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