パンドウィットのLANケーブル/ambisonic mic


読者にレビューを頼まれ、買ってみました。

一向にTSUNETのケーブルが届かないのですが(1ヶ月くらい経ってる)そのようなやる気の無いダメな企業と違いこのメーカーはグローバルな大御所であり2日で来ましたね。おい、見てるかTSUNET ?

さて、これはLANケーブルとしてはかつて無い質感と物理的な特徴です。物凄く硬いのですがある程度振動がダンプもされている感じですね。

繋げる前にもう持てば音は9割わかります。

さて、聴いてみました。

うーん、92%くらい事前の予想通りの音です…悪くない。付帯音も少なく(後述します)、太さの割にハイスピードな部類です。今のチャンピオンケーブル協和ハーモネットスーパースリムについでハイスピードでしょう。決して『輪郭やリンギングでハイスピードに感じさせる』ような低俗な物を我輩ハイスピードと言わないので念のため。

ケーブル、特にLANケーブルの付帯音は無理矢理大別すると二つに別れます。

一つ目はELECOMの普通の6Aケーブルにあるような『比較的低い帯域での付帯音』です。基本的には軟質の厚い絶縁体や外被などで起きる収束の遅さに起因します。かつこれはどちらかというと時間軸的に後ろにずれる付帯音で、悪く言えばロースピード(とは言えほとんどの太いオーディオケーブルよりは遥かにマシです。特にテレガートナーとか)環境次第ではそれが『厚み』や『雰囲気』『音数』と感じる可能性もあります。

二つ目はもっと速いタイミングの付帯音で、この手の付帯音はもっと高域で歪みとして感じやすいものです。金属スパイクを想像すればすぐお分かりでしょう。あるいは振動が制御されてない細身の単線ケーブルとかにもありがちです。インコネだとベルデン88760とか非常にわかりやすい。これはケーブルが硬質で振動にリンギング的な物が乗る事による音です。なお両方あるケーブルもオーディオ用にはあります。硬くて太いとそうなりますね。テレガートナーとか(しつこい)このパンドウィットは後者を持ってますが、それでもかなりマイルドです。隠し味的なレベルに収まってます。

ただ結果的に輪郭はありますね。振動特性的に仕方ない。とてもクリアでやはりハッキリと屹立した音です。これは好ましい所もあります。また輪郭のお陰で低音がよりクッキリと可視化出来る方向でやはりこれもオーディオファイルは喜びそう。自然さの極限の追究というよりは『高音質を楽しむ』『人に凄いと思わせる』路線です。

その反作用でやはりほんの少し固有のハリ…歪みというか、があります。あと『音像のコアが究極的に極小で、そこから音が広がる自然の摂理が最も明確でピントが合い』『真の意味でresolutionが高い』のがチャンピオンケーブルですがそれよりはそこら辺は少し曖昧です。


ちょっと蛇足ですがこの音像の構造は録音のマイクとかとかなり密接な関係があります。別にどれを使ってもこの構造は描写出来ますが、単一指向性よりは無指向性の方がよく、かつマイクもワンポイントの方がその再現性は高いです。では一般的に聴ける音源で例をあげるとホリーコールですかね。アルバムだとblame it on my mouthとか。

極まるととてつもない自然な音場と点のような音像のコアの小ささです。このアルバムはcalrec ambisonic microphoneという特殊な真の意味でのワンポイントマイクでステレオ録音されてます。いわゆるAB方式の2本の無指向性マイクを並べて録るより位相の干渉がなく、これが自然な録音とするなら他は比較すれば不自然と言わざるを得ません。ただコントロールユニットでこのいくつかのマイクの角度をリモートコントロール出来るのですが絶対に難しい。まあ取り敢えずさっきのアルバムの smile辺りを聴いてみてください。

仕組みは無指向性マイクと3つの指向性マイク(XYZ軸を録る)を組み合わせて、これひとつでステレオ録音します。最近のは7.1.4chとかのイマーシブになるらしいですな。そこから低いチャンネルにフォーマット変換出来る、とのこと。もっと流行れ!


閑話休題

非常に悩みましたが正解不正解を見る鉄壁のモニターとしてのスタンスから採用は見送ります。やはりオーディオの世界の音です。

ただこれほど分かりやすく高音質なケーブルはあまりありません。協和ハーモネットは『マンガーユニット』に非常に似てます。ピストニックモーションのスピーカーでは不可能なトランジェントとresolutionを持ちます。最も自然音に近いです。そして輪郭や歪みがまるでない。対してこのパンドウィットは現代的、あるいはちょっと前のハイエンドスピーカーの路線です。オーディオの脚色…といっても色々な脚色がありますが…ひとつの路線で脚色を感じます。ただその脚色はほとんどの聴者が『あら良い音。お金払っちゃうわ』と言いたくなる結果になるでしょう。そして何よりこの協和ハーモネットの真のスピードとresolution、付帯音の完全な除去を生かす環境は多くはありません。

なので『買う価値はあるか』と問われれば『ある』と答えます。

このレビューが長くなったのは『結構良かった』からでもあり『示唆に富む』からでもあります。

もし我輩がオーディオセレクトショップを造ったとしたら、LANケーブルコーナーにこれも置くでしょう。これがハマる環境とリスナーは多分多数派なんじゃないかな、と。


“パンドウィットのLANケーブル/ambisonic mic” への14件のフィードバック

  1. 取り上げていただきありがとうございます。

    自分の環境では協和ハーモネットより良いかもしれないと思いました。

    TSUNETのレビューがでたらどちらか評価の高い方を購入したいと思います。

    さて,他の読者から型番について質問があるかもしれませんので,補足させていただきます。

    PANDUIT UTP28Xが型番で,2メートル(2M)の赤色(RD)のケーブルの場合,UTP28X2MRDになります。

  2. 塗料の関係で色でも違ってきますからどれを試すか迷ってしまいますわね
    エレコムでは全色試して白が良好でしたがこちらは赤が良いということなのかしら
    協和ハーモネットの方も白黒あるけどどちらのことなのかしら
    わたし、気になります

    • 私も黒か白かなら白が好きです
      ただ今回のパンドウィットや、いわんやTSUNETとかめちゃくちゃ色がありまして、全部聴きたくはありますがキツいですね…

    • いつもありがとうございます。https://www.iijmio.jp/device/ncj/eco_patch6.html
      IIJ 内のサーバーに使っている超細径(サイズ不明)ケーブルだそうです。十字介在が入っていそうですが果たしてどうでしょうか。これから試してみたいと思います。

  3. お久しぶりです
    おすすめアルバムすんごい…とっても良かったです!
    そういえばグルマン殿
    ハイクロックメモリはあれから手に入りそうですか?
    あれは本来オーバークロッカーたちの物
    そこでご紹介
    国内でその道に最も精通されていらっしゃるのは
    duck殿です(絶対小文字表記)界隈で知らない人はいないレジェンドです87CLOCKERSという漫画まであります
    Xアカウントは@duck_oc
    あまり更新はされてないようなのですが
    えげつない選別品の発売アナウンスをされることがありますよ
    また、氏はミュージシャンとしても活動されていたようです
    すでにご存知でしたらごめんなさい

    • 気に入って頂けてありがとうございます
      いや、存じませんでした
      それは…凄いですね
      情報ありがとうございます
      とにかくメモリクロックは音に直結しますので
      チェックします!!

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