遠いところ本当に恐縮ですが(奈良)来ていただきました。魔界転生者史上最高の音楽家、中川統雄氏です。
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音楽家として極まった方とオーディオから登り詰めた魔物の音に対する考えは見事に合致していました。登り詰めると何処から登っても最終的には同じような物に収束するものです。
非常に速度に対して感度が高い方でした。音楽は時間芸術という側面と、また音の発音の機構的な意味合いでもとにかくスピード、トランジェントは大切です。特にリスニング用途ならともかくモニターはある程度は速くないと許されません。立ち上がりと共に減衰速度も大切です。減衰速度を低音で達成することは普通にやると大変ですが。
立ち上がりが本当に早くなるとむしろマイルドで聴きやすくなります。紛い物のハイスピードは輪郭を付けることで(歪み)脚色され見せかけ早く聴こえさせますが誤魔化しです。そういうシステムはうるさくて聴けません。そして中川氏が凄いのはこれを完全に理解していらっしゃったこと。多くのオーディオファイルに爪の垢を飲ませたい。
またavalon AD2077をラックに取り付けるor外してインシュレーターとかで支持する、を比較すると歪み率など測定上も変わる、とのこと。虎の子のアウトボードは可能ならラックにいれない方が良いですね。
音を聴いていただきました特異領域たるトランジェントと共に奥行きに対して非常に感銘を受けておられました。これは特に開発したスピーカーセッティングの完成形、『逆相法』があれば誰でもある程度は達成出来ます。
色々聴いていただいた後、ご本人の作品を聴いていただきました。まずはperfect world。
これはあまりにエグい曲です。再生困難。あらゆる項目がもれなく達成出来てないとまともに再生出来ません。まずトランジェント。特に低音域も大切です。扉をバァンと閉める音が入ってますが、これも至難。上手く再生出来ればぶん殴られた様な音になります。凄い音です。また27Hzの低音が入ってますが、これも減衰が速くないと形が見える低音になりません。27Hzが超速くてクリーンに再生するのは至難です。 いずれも(魔界なので当然ですが)クリアしているので大変驚いて頂けました。
また冒頭から流れるパチパチという音、これは一音一音歪みを変えているそうです。凄すぎる。で、大抵はその差もあまりわからないモニターシステムが多い中でその違いが明確で何種類もあることが聞き取れるとのこと。歪みとは大抵は高周波なのでここでもトランジェントが大切になります。
続けてアンティキティラ。改めて聴くと…やはりなかなか打ち込みとは思えんなあコレ。天才が地獄の執念をかけて作り上げた怪作です。奥行きに感銘を受けておられました。奥行きは高次元なオーディオファイルは普通は気にする必須科目ですが、多くのエンジニアはその認識が欠けています。何故わかるかですって?だって大抵の曲に奥行き無いじゃん()ついでにローも無い曲多いんですけどね。
奥行きという認知は無論スピーカーセッティングが大きなファクターですが理想的には『位相特性が良くて』『全帯域の速度が揃っている』ことが必要になります。我輩は無帰還真空管アンプとD級アンプを好みます。理由はわかってなかったんですが、この一年で『全帯域の速度を揃える』という認知が完成した事で悟りました。トランジスターのアンプは大半は位相が回転します。低音が遅れるのです。真空管アンプもD級もそれがない。この前のクラシックの宣教師USK氏も『低音の通奏が驚異的にクリアで奥行きを持って聴こえる』とおっしゃいましたが回転が無いから出来る芸当です。D級アンプはvoxativeにはまるで合わないので魔界ではノーチャンスですが、一般的なスピーカーでは優れておりまた軽くて安いです。なのでパッシブ使ってやろう、というプロには取り敢えずD級を勧めたいです。
そして奥行きが聞き取れるモニター環境でないと奥行きを作るなんて芸当は不可能です。ローも同じ。まあ見えないものは弄れない。我輩の活動は日本の音楽製作のクオリティをバクアゲする事が目的でもありますが、これは大切です。
アンティキティラはマスタリング前は自然ですが禁欲的、マスタリング後は非常にダイナミックで(どんな事をしたらこうなるのか全くわからないが)エネルギーのコントラストが明確で躍動的になります。それぞれの良さが出ている素晴らしい試みです。
以下、ご感想を転載しました
>オーディオ界の魔王、グルマンさんのシステムで色々音楽を聴かせて頂きました。
一言で言うと別格。もう別格です。
傾向としてはプロオーディオの極限のような音で、トランジェントの表現(真のスピード)からくる縦の正確性、ローエンドのクオリティ、奥行き表現。コレら全てがもう別の次元でした。
勿論アンティキティラやPerfect Worldも聴かせて頂きました。
Perfect Worldはオーディオシステムにとって「真価を試されるシビアな音楽」なのですが、本音を言うとグルマンさんのところでみんな聴いて欲しいと思うサウンドです。
強烈な打撃音や後半のローエンドがもうえげつないです。これを作ったオレえらい!笑
音楽家達にこの音を是非聴かせてあげて欲しいと相談したところ快諾いただけたので、そのうち勉強会を開催したいと思っている次第です。
参加したい旨をDMいただいても良いですよ👍
というわけでモニターとは?という勉強会を行う運びになりました。それ以外でも千客万来なので気軽に連絡してくださいませ。
追記
アウトボードの話も色々としましたが、お互いの認識が見事に合致したのが『デジタル領域の歪みは厭だ』ということ。何か処理すると折り返しノイズなどが乗りますが、非常に不快な音です。アナログ領域は何か余計な回路を通ればある種の劣化は避けられませんが、それは不快ではなく場合によっては有益な事もあります。出来ることに違いはあるので優劣はつけられませんがデジタルはあんまり多重にこね繰り回し続けず行きたいものです。