認知/オーディオ畑と音楽製作畑


今回は珍しく観念的で難しいお話なので受けが悪そう。でも書いてしまう。南無三!

オーディオ畑と音楽製作畑の双方の認知スキルツリーの多くを開放した今なら見えてくる事が沢山あります。過去の経験が全て繋がり生き返ってくるのですね。一年前ならばまるで見えてなかった。

オーディオにおいて成長とは認知を上げるということです。その時自分にない、何か新しい世界を聴くことで(センスがあれば)開放されるパネルみたいなものです。センスだけではなくまさにスキルツリーみたいなもので、積み上げてきた諸条件を満たしていれば5分聴いただけで雷に打たれ、いきなり解脱するものです。ジワジワと磨くものではないです。ただ経験や施行(フラグ)が足りてないとその現象は起きません。認知が開くとオーディオの出音がいきなり何倍も良くなることもザラです。一つの認知だけでそうですから、2つ3つ開いたら出音が爆発的に良く出来ます。

認知とはつまるところ『何を聴くか』ということです。奥行き、位相、音像の有り様…核のピントとその周囲の部分、音の順番、自然の摂理、バランス、密度、音数、残響のf特 etc…色々な項目があります。

今まで両方の畑の強者達と交わりました。無論我輩の出自はオーディオ畑なので後から交わったのが音楽製作畑ですが、そこで得た認知がいくつかあります。裏を返せば音楽製作畑の認知は基本的にオーディオ畑の強者も持ち合わせておらず、逆もまた真なりです。

真の速度、バランス、残響のf特の3つのパネルをこの一年で開けました。特に音楽製作者のバランスの有り様は雷に打たれましたね。いくつかの良くできたスタジオ…つぶさに見ると物凄い執念を感じて我輩ニッコリのやる気のあるスタジオ達でしたが…ほんのちょっとしか聴いてませんがそれで十分でした。最後のフラグが立ったわけです。両方の畑の強者に決して贖えない物を頂きました。今、我輩のオーディオは灼熱の時です。今までの全てに心から感謝。

そしてオーディオと音楽製作、その間を相互通行させ、ノウハウを行き来させたいのです。彼方にないものを此方から持っていく。そうすると両者とも今より遥かに素晴らしくなるはずです。オーディオファイルの出音は遥かに良くなり、また音楽製作者の意図がもっと感ぜられます。音楽製作者は造る作品(商品ではなく)の音がもっと良くなる。ロサンゼルスなんて目じゃなくなります。世界の名録音のメッカはジャパンとしたい!()

では具体的に彼方と此方に何があって何が足りないのか?

オーディオ畑にあるもの

  • 基礎的なクオリティ、SNやレンジ、情報量など(追究のマインドの深さが違う)
  • 音場に関わるもの、広がり、奥行き、定位
  • 音像の成り立ち(高度なレベルのみ所有)
  • 質感の鳴らし分け

音楽製作畑にあるもの

  • 共通認識的な普遍的バランス
  • あるべき低音
  • 密度とエネルギー

両者とも高次な人は持ち得るもの

  • 真の速度
  • 自然の摂理、音の順序
  • 位相のブレ

どちらも持ってないもの

  • 残響のf特

こんな感じ。

もちろん音楽製作者でもオーディオまで造詣が深ければ両者ともある程度持ち合わせてます。

個々に解説すると

・サウンドクオリティ

そりゃ音楽製作畑も気にする内容ではありますが、その要求の高さが異質です。せやからオーディオファイルはわけのわからん大金をはたくねん。我輩もだけど。

・音場関係

これも音楽製作畑は気にしますが、平均値は元より高次なオーディオファイルの追究はこれまた異質です。奥行きの概念が希薄な録音が多い事が動かぬ証拠です。クラシックとかの録音エンジニアとかはまた違うでしょうが。

・音像の成り立ち

オーディオ畑で修行していて比較的後期に学んだ概念。これがある人は相当凄い。音像は…特に人の声がわかりやすいですが、音に核があり音がその回りに纏わりつきます。その様が明確であればあるほど良く、それが出来れば全ての音の項目が飛躍的に良くなります。スピーカーセッティングとデジタル回りが大きいです。

・鳴らし分け

これは色々聴くタイプのオーディオファイルが気にする所ですかね。高音域のトランジェントと密接な関係があります。各楽器の物理的な特性を再現するわけですが、高調波が主体です。なのでダイヤモンドなりスーパーツイーターなりに傾倒するわけです。

次は音楽製作畑有利の項目

・共通認識的に普遍的なバランス

これが全然違う。これに関しては純粋なオーディオ畑はもしかすると誰も持ち合わせてない可能性が高いです。何しろいわゆる現代的ハイエンドオーディオがまるで認識してない。これは雷に打たれましたね。後述の低音の有り様やエネルギーも大きく影響します。言葉では表現できません。

・あるべき低音/密度とエネルギー

これは部屋の設えとか機器の選択など色々な要素が必要です。『可視化できる(形が触れられるようにありありとわかる)低音』『それに然るべき密度とエネルギーがあり』『しかし共通認識的バランスを保つ』事でしょうか。ただ聴くのではなく造らねばならないので認知の度合いが違います。

次は両者とも持ち合わせ得る項目

・真の速度

高音域のトランジェントのみならず全帯域の話ですね。例えばQuad ESLはモニターとしても民生でも特に生音を追究する人々が使ってきました。またそれを成すためのネットワークに功罪あれどYG acousticsはQuadの精神的フォロワーで速度を旨とします。ただ『ユニットで空気を動かす』という物理的な空気という敵がそれを困難にしています。

ここら辺に詳しく書いてます。

・自然の摂理、音の順序

これは製作者より演奏家の方が気にするかもしれません。どんな楽器も発音、振動する順序があります。また演奏家は局所のみならず演奏のパートごとのタイミングなどをここら辺から察する認知があります。オーディオファイルや製作者も高次になると気にしています。なのでカウントベイシーの菅原氏は結構気にしてますね。ドラマーでもあるし。

・位相のブレ

モジュレーションともいう。これがあると音像の成り立ちが乱れます。原因は様々で、スピーカーセッティングを除けばデジタル回りで起きがちです。反射があると大抵死にます。高次なオーディオファイルと製作者もこれが無いと大喜びする。

最後に両者とも持ち合わせてないもの

・残響のf特

オーディオの調整(アクセサリーなど)をやり尽くして、また色々な場所で色々な経験を積み勉強してきてようやく習得した固有の認知であり概念。これは機器やアクセサリーの固有音やシステム全体の音を物凄く俯瞰して見ることが出来ます。そうすると個々の物にヒエラルキーや善し悪しなどあまり無いことがわかります。どんなものも固有の残響のf特があり、部屋を含めて全ての合算でそれをどうするかで人間が受ける音の印象を如何様にでも変えられます。

言い方を変えると『割れ鍋に完璧な綴じ蓋を精密にかいせきして確実に嵌める能力』です。結局オーディオは割れ鍋に綴じ蓋ですから。機器の開発もあらゆるパーツや回路により割れ鍋に綴じ蓋を繰り返して名機は出来ています。さらに部屋という究極の割れ鍋ファクターがある以上割れ鍋に綴じ蓋はオーディオの宿命です。割れてない鍋など無いのです。

この奥義をどう布教するか非常に悩んでます。デュアルサブウーファーの完全な設定と同じ位お伝えするのが難しい。うーん。


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