多分日本でPMCを一番使ってきた一般人と思われます。
DB1からBB5まで8機種は使ってます。
昔は(今でも?)東京でBB5を聴けるのはヒビノの中だけだったので聴きに行きました。試聴室?にはCDトランスポートに何故かesoteric P0が繋がっており『コンシューマー向け持ってきたか』と。それとBB5サブ(今のXBDではない)の威容に驚きました。面白い経験でした。
PMCはマスタリングスタジオには世界的に結構使われており、また一部コンシューマー向けを除き無駄な設計変更をしないので超ロングランモデルが多いです。
特にトップのBB5は30年余りで一度だけしかマイナーチェンジしてません。それだけの完成度とも言えます。
設計的にはかなり特色がありトランスミッションライン、-24dB/oct crossover、そして大人気ATCミッドレンジ(恐らく世界一人気だが他社に卸さなくなってしまった。)という陣容。
昔の2wayモデルはハードドームでしたが不評だったのか全てソフトドームに変わりました。わかりみ。そのソフトドームもsignature或いはSEになって変更され、恐ろしく切れ味が良くなりました。
ではPMCというスピーカーはどのような音の特徴なのでしょうか?
1.物凄く深い低音
トランスミッションラインがあるから当然とは言えますが、これは他を圧するレベルです。同等のサイズのスピーカーだと比較になりません。その超低音は軽く広がりがあり、YG acoustics含め密閉サブウーファーの出せる質とは異なります。オーケストラのそれに近いです。
2.物凄く位相が良く、手に取るように見える
音場の奥行きも大変素晴らしくモニターの中のモニターとも言えます。正確無比。ユ-24dB/octのcrossoverが良く出来ているのですね。crossoverは後で微妙に欠点にも繋がります。
3.ニュートラルかつ自然かつパワフル
ソースを選ばないという意味ではコンシューマー含め最高峰。マスタリングスタジオではクラシックモニターにも良く使われている。上位3way製品はミッドレンジがATCですが、これがいいですね。ATCより使いこなしているとも言える。味付けやモッタリ感がなくハイスピードな中に優秀なミッドによる自然さと厚み。
4.駆動がキツイ
ATCとかもキツイけれど(密閉だから)また違うキツさ。多分crossoverが重い。日本ではヒビノの扱いでもあるBRYSTONが抱き合わせられていた。ヒビノの中の人にBB5搬入のついでに持ってこられたが全然鳴らしきれてなくて笑う。手持ちのD級アンプの方が圧倒的に鳴らしていてヒビノの中の人、ぶったまげる。ふひひ。
5.crossoverが凄く電解コンデンサ
これは-24dBで部品点数が多く仕方ない所もある。だが超絶値上げした今でも電解なのは気になる。とは言え魔界の様に手段を選ばず詰めるでもない限り実はウーファーへの電解コンデンサは音は悪くはない。厚みと温かさにつながる。では何が問題かというと精度のバラつきと経年劣化。精度はまあユニット自体も大きなバラつきはあるし良いとして経年劣化は問題かと思われる
これはMB2SEのcrossover network
5.速度は優れているが上は居る
正確無比と無味無臭、厚みが旨のスピーカーだが速度的には上には上がいます。
高調波的な立ち上がり。これはソフトドームの宿命。癖の無さ、自然さのトレードオフ。日本のPMCの大半を売ってきた逸品館清原氏のスーパーツイーターCLTシリーズ…魔界でも使われている最高強度の高調波発生兵器だが、これもPMC(BB5やMB2)を対象に造られていた。現に今も実家のBB5にも使っています。
ここら辺は同じくモニター用途だったManger sounding transducerやQuad ESL63proと対極の存在なので棲み分けでしょう。
そして次に立ち下がり。これは最近のメタルエンクロージャや強固な新素材、複合素材等に比べるとトラディショナルな感じです。トランスミッションラインという大変素晴らしい構造がある以上はなかなか特殊な素材などを使えません。痛し痒し。…だったのだが革命を起こしたのはこれ、Fenestria。凄いよね。
まとめ
コンシューマーのほぼ全てのスピーカーよりも中庸であり、正確なのである程度視聴距離が保てるならステレオのエンジニアリングには理想のスピーカーの一つだと思う。(点音源が望まれるイマーシブには向かない)能率も意外に高い。いまだに存在感は強くもっと着目されても良さそうなメーカー。なにっ、聴ける所がないから売れないッ?しかも国内価格が高過ぎる!
あと最も強固な足場と強いパワーアンプが欲しくなるし、最悪トリプルアンプをやりたくなる。active版は他のメーカーもそうだが中身大したアンプじゃないのにべらぼうに高いボッタクリである。
でも実に素晴らしいスピーカーです。
“PMCってどんなスピーカー?” への4件のフィードバック
Passive
暫定的にpmc tb2とかも使おうか考えてたんですが、
このくらい小さいのでも、それなりにいい音ですかね?
DIATONE DS-500とかよりもモニターしやすいのでしょうか
KEFを絶賛されてますが、生で聞いてみたいです
空気録音しか聴いていないですが、
R3の方は結構自然な出音ですが、
LS50metaの方は空気録音だとちょっと素材の音の癖が強い印象で、プラスチックというかなんというか現代の素材の音がするのと、
中高域に余計な倍音が付帯しているように聞こえます
サウンドパーツとりあえずハードオフのジャンクコーナーにあったスピーカーで音出ししてみましたが、
世界が違いますね。
ただ微細なホワイトノイズが乗ってるのでマスタリングとかには
流石に使われないのかなーと思いました
ミックスではスピーカーが合って、慣れればいけそうですね
PMC TB2も持ってましたね(我ながら本当に色々持ってますね)
初期型とソフトドームになった後期型で色々違いますが、前期型はルームチューニングがある程度されている(というかちょっとデッド)か、部屋に比してニアフィールドでないと繋がりが気になるかも?でも素晴らしいスピーカーです。
後期型のソフトドームはソフトドームの割に妙に切れ味もあり、使いやすいと思います。いずれにせよds-500より確実に上です。
LS50metaのあの癖は筐体のプラスチックと思うのは大変良くわかりますが、実は違います。バスレフポートの収束の遅さです。此処がアキレス腱なのでハイファイに鳴らすならローカットするのが前提です。設計者の気持ちを考えるならば『あの小さい同軸ユニットと箱でバランスを単体で取るならこれだけ盛らないと』って事だと思います
スピーカーの能率次第ですがnonNFBなので軽微な残留ノイズはあります。ただエンジニアリングはミックス、マスタリングともに速さが大切です。必ずや音の接し方が変わってくるでしょう。
バスレフポートなんですねー
解像度はすごいですね。
どこかに書かれていましたがADAMも解像度すごいですが、また違う感じですね。
私もADAM使っていましたが、あの高域に耳が辛くなり、DYnaudio BM6Aに変えましたが。
その後focal shape twinも試しましたが、
スピーカー自体のレンジは広いのですが、
アンプがあまりにもよくなくて、倍音があんまりよくないので、
Dynaudioに戻っていますが、
やはりできたら真空管でモニターできるなら越したことはないですね。
これからパッシブのシステムゆっくりですが組んでいくの楽しみです
ありがとうございます
BM6は傑作です
見た目は何にもおもしろくありませんがユニットも総合的な造りも良くできてます。
繋がりが良い限界の大きさのウーファーですね
純粋な2wayアクティブではこれを超えるのは難しいでしょうね
adamの速度は良くない歪みによるものであれは速いと言いません。
今後の展開をお待ちしてます。