クライオについて


おお、此処に踏み込んでしまった

利害関係も無ければイデオロギーを何ら持たぬ悪魔だから書けることもある。否定も肯定もしない。大体何事も安易に否定するやつは勉強した積もりになってるやつだからね…なお我輩は刃物が好きで中学時代から金属工学を学ぶ危ないやつだった。まさかオーディオという道で猛威を振るうとは思わなかった。

さて、もちろんかけ方で大きく違うのは確かだが概ね決まっている事がある。それは『結晶構造で振動が大きく変わる』、『性能の絶対値が良くなるわけで決してない』、この二つだ。

例えば概ね結晶構造が均質化することはコンセンサスが得られている。元々は急冷して鋼の工具としての硬度を上げる事から始まったが(細かくは省く)更に温度が下がり、またその戻しかたでまた結晶構造の有り様が変わってくる。何ならその後再加熱(クライオ→アニーリング)を何回か繰り返すのだがその際の温度設定次第で結晶粒界が大きくなるなどの事が可能である。

まあ何を言いたいのかと言うと『十把一絡げには出来ぬ』ということ。

ではあるが、基本的には振動はダンピングされ、減る方向に行く。

Analysis of Vibration Damping Ability of Deep
Cryogenic Treated AISI 4140 Steel Shaft Supported
by Rolling Element Bearings

聴感的に『デッドになるよなあ』と思っていたら学術的にやはりダンピングされることがわかった。

しかしダンピングされるから良いわけではない。例えば数回前の記事で『銀は共振周波数が銅より低く耳につきやすい上に非常に振動が長く止まりにくい』という内容を書いた。

であるが故にクライオは銀の異様に響く…結果『銀臭い』音がある程度収まり基本的には良い方向に行くだろう。

だが結局の所『振動のf特』が変わるだけであり良くなるわけではない。『銀は銅より良いんだ!』と同じく脳死で『クライオは良いんだ!』と言うのは完全に誤りだ。

まあ高く売るための方便として『オーディオマニアは喜ぶだろう』と思ってメーカーは使ってる節は大きいのは確かだ。

『クライオで結果的に音のシェイプが良くなるから使う』ならともかく『クライオしてるから良いのだろう』というのはあり得ない。銀ならまあともかく(というかクライオしないと使い物にならぬ)

なおファインメットコアは製法的に箔を巻いて造るのだがその歪みを取るからだろう、異様に効く。

そういう例外はともかく『良くなるに違いないからとても気に入ってるこのケーブルをクライオして貰おう』とかは危険である。音数が減って『悪い意味での古典的ハイエンドオーディオ』に寄っていくだろう。音が減って音像クッキリ!SN上がった!みたいな。決して音を確実に良くする魔法ではないことは覚えてくとよい


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