前回指向性の広さ(あるいは十分なウルトラハイの時間差をもって得られる音波)は生の楽器の有り様と、両耳相互相関係数により音の広がりを得られるというお話をしました。
いくらどのような音の情報が音源に含まれようが、部屋でこれをおこさねばこれらの現象は再現できないのです。極端な話、ワンポイント録音のオケ聴いてホールにいる感じは絶対出せません。
そしてそのために『指向性が広いツイーター』か『アンビエントに特化した装置』が必要です。部屋のみでそれを行うと死にます。乱反射が激しい拡散板を左右壁に貼るとなにやらホール感は出ますが位相のモジュレーションで原音も糞も無くなります。以下を参照。
大体経験則的には『生楽器やってた人』は指向性が高いスピーカーを選ぶ傾向が非常に高い。さもなくば生の人は真逆のようだがホーンに行く。MAGICOの理想はホーンでYGの理想はQUADですからね。
それは数ある『生楽器のパラメーター』のうち何処から入るか、でもある。ダイナミズム、トランジェント、音の拡散の性状あたりか
最もオーディオファイルはカルマが深く何処から登ろうとも全ての要素も欲しがるのだが。悔い改めよ罪人どもが!破ァ--ッ!
例えばホーン側から登った場合、ホーンドライバーという兵器と空気とのインピーダンスマッチングという仕組みのお陰でダイナミズムは強くトランジェントも良いが一般的なホーン形状では高域の指向性が狭い(CDホーンとかは別)ので高価なMEWONのツイーターを複数使い始めたり、或いは故菅野沖彦氏のようにELACやKITHITの無指向性ツイーターを載せ始める者も少なくない。音場というより『生の現場の実感』のためには広く放射される高域とある程度のウルトラハイのエナジーが必要です。ホーンの記事も書きたくなってきた。
だがですね、現実的には大抵普通にやると広指向性は厄介でなかなかうまく行かない。B&Wが暴れ馬なのは何故か?別に指向性の不連続性だけではないのです、そう数khzの。
ひとつはウルトラハイのエナジーが極めて高いからだ。音響パワー、と言ってもいい。広大な部屋ならともかく御する事が大いに厄介である。初期反射の影響が大きく、また高域に耳障りな信号が入るとそれも強いエナジーで振り撒いてしまう。その部屋とB&Wに見合ったルームチューニングか高次元のスピーカーセッティングが色々必要になる。売れてる割にはかなり難しいスピーカーが故にアンチも少なくない。良い時はめちゃくちゃ良いんですけどね。打率0.152 HR32本 三振250、って感じのバッター。ラルフブライアントより極端である。
つまり広指向性は難しい。ではどうすれば良いか?
音量をめちゃくちゃ小さくするのです。初期反射の悪影響は音量が原音より小さければ起きません。
或いは明後日の方向に向ける…まさに既製品のスピーカーにあるアンビエントツイーターです。スピーカーのツイーターの180度反対を向けて設置するのです。嫌でも時間差が生まれるので到達が遅くなり色々と厄介な物を産み出してしまう初期反射ではなく残響の成分が増えます。
スーパーツイーターの意義をまとめると
1.波動モーションによる超トランジェントが付加出来る
2.360度の指向性で楽器や生物の音声の有り様を再現できる
3.後方へ向かう音で残響による魔法が再現可能(ホールに居るような空間創出)
ex.置き方次第ではアンビエントに特化可能(スピーカー裏)
という所です。
特に1.2.3に関しては本当にCLT5が優秀で、その真価はシステムの有り様や部屋の詰め方が改善すると飛躍的に現れてきます。まあ前後位置の詰めや角度が難しいですが。
スーパーツイーターとQAA(回し者のようで嫌)により恐ろしく完全に空間創出が可能です。多分現在の魔界の音聴いたらセッティングガチ勢程腰を抜かすのではないだろうか?極まればステレオでatmos並み、行けます。
サブウーファーとスーパーツイーター流行れ!
“アンビエントツイーターの是非2” への10件のフィードバック
ParadigmのPersonaシリーズに使用されているPPAレンズ(ペンパイナッポーアッポーではないレンズ)はメーカーによると「位相のずれた音波が互いに相殺することを防ぎ発散性を高め、歪を低減する」とあるのですが、こちらは『指向性が広いツイーター』ではなく指向性を制御するいわゆるウェーブガイドになるのでしょうか?
以前AUDIAのパワーアンプを褒められていましたが、プリアンプ(特にFLS1)を視聴されたことはありますでしょうか?
もしありましたらグルマンさんのご評価をお聞きしたいです。
あのレンズPPAって言うのですね
今後あのスピーカー見たらピコ太郎しか浮かばないw
測定値からするとほぼほぼウェーブガイドですね
振動板の大きさから考えると明らかに指向性の連続性が非常にスムースですのでウェーブガイドです
現代的な文法であり場所を選ばずセッティングはしやすそうですが広がりは少なめだと思いますが超高域が盛り上がり気味なのは超高域の指向性の狭さを音響パワー的に補おうとしているのか何らかの開発者の意図が感じられます
天板はスーパーツイーターにちょうど良い傾斜がついてますね…
プリは試聴してないんです
プリで良いものは稀というか数千機種にひとつ位あるかないか…(パワーは沢山ある)ので確率論的には不安ですが気になりますね
出現したら是が非でも聴いてみます
ご返信ありがとうございます。
CTL-7が発売されたらスーパーツイーターを導入してPersona 3Fと合体させる予定なのですが、安い調整機能なしのものでもセッティングの難度はそれほど変わりませんでしょうか?
また、接続に使用するケーブルでお勧めのものは何かありますでしょうか?
お手数をお掛けしますが、AUDIAプリ楽しみにお待ちしております。
高さ、傾きの調整機能はうーん、正直欲しいかも
今の完全なるセッティングに傾き調整は不可欠でした
しかしこのコストの数十倍も改善に寄与するはずです
此処は上位に行きましょう
ケーブルは以外に影響します
極細単線が良いでしょうね…
CLTお買い求めの際、おっしゃって頂ければ頒布致します
傾きも調整可能なのですね。
アドバイス頂いた通り上位にしたいと思います。
やせたかなしいアルパカのような生き物さんがいないとセッティングが厳しそうですが、数十倍は楽しみです。
ケーブルのご提案ありがとうございます。
購入した際にはぜひお願いしたいと思います。
宜しくお願い致します。
非常に興味深い内容でした。
グルマンさん宅にお伺いして、拙宅と出音の系統は同じであることを確信していますが、アプローチはそれなりに異なる印象です。
拙宅の場合は、後面解放にバイオリン/ヴィオラツイーターですので、全帯域に渡って360度(に近い)音の広がりがあります。
それと、部屋の響きを積極的に利用しています。
その分、ピンポイントの音像にはなりませんが、拙宅にお越しいただいた方から、不自然であるとの指摘はほとんど受けていません。
寧ろ、リスニングポイントの後ろをグルグルと見渡しながら(サラウンドのSPがあるのではないかと?)ウンウン唸られる方もいらっしゃいます(笑)
グルマンさん宅の出音と比較して、腑に落ちたことは非常に多く理解が深まったのですが、いつかグルマンさんにも拙宅で「ぶった切って」いただきたいと思っている次第です。
なお、グルマンさん宅でのCLT-5の効果は絶大で、耳に刺さらないシンバルの再現は、もはやどこでも聴いたことが無いレベルでありました。
使いこなしたい(笑)
明らかにコンサートホールや生演奏の文法ですね
これほ優劣というより何を取るか、でしょう
全帯域を無指向性に出して広い部屋で吸音をせず鳴らす事は演奏としてのリアリティー、臨場感は素晴らしい物と予想します。
まさにその部屋で演奏している様、という感覚でしょう
演奏家が好む一つの素晴らしい路線です。
対して魔界では『位相の徹底的管理で壁を完全に無くして録音の空間自体を現出する』というまさにモニター型(そんなレベルのスタジオがあるかは置いておき)です。
前者のやり方は素晴らしい壁(ホールですから)と一定の広さがないと出来ない贅沢なやり方でもあります
後者は調整が大変でルームチューニングに果てしない練磨が必要です。
基本、部屋ホール/ライブハウスと考えています。
音が上手く抜けていく(空間が広く感じる)ようにセッティングを詰めてきました。
グルマンさん宅は、狭い部屋にも関わらず、狭さを感じさせない音作りが凄まじいです。
位相管理が徹底されているので、オーディオ的に効いても全く揺るぎがありません。
狭い部屋であそこまで詰められるのを聞かされると、拙宅のサブシステムを詰めたくなってきました(^^)
voxativの励磁を入れて詰めるのもアリかも。と思い出した次第です。
グルマンさん
川越への引越しが終わりまして、部屋も少し広くなったので後面にアンビエンスツィーターを追加設置しました。
これまでのフロント&両サイドツィーターに追加なので、ほぼ360度の無指向性となりました。
ホログラミック度が上昇したように感じています。
ルームチューニング含めて煮詰めていきます!
引っ越しお疲れ様でした
いやあ音量半分でのアンビエントツイーターは恐ろしく効きましたね。記憶に焼き付く革命的な効果でした。
まさかあそこから後ろに追加するとは…でも良さそうです