突然だがGAVAN氏が魔界に転生もとい来訪された。
何者かというと静岡県にお住まいの強火オーディオファイルです
https://twitter.com/gavan021113/status/1642868583842861056?t=XHPDgDh0oGoorjYfVxisOg&s=19
我輩と似たようなスピーカーで同じメーカーのアンプ。以前ご紹介した空前絶後のお買い得メーカーサウンドパーツのアンプを沢山お持ちです。
GAVAN氏はvoxativの究極励磁ユニットをお持ちです。そして某所に特注スピーカー製作を発注してカレコレ約10年経過しているそう。なかなかそのvoxativを使いこなすのは難しいらしい。そうでありましょうな。
なおそのユニット代は現在70000ドル。ハイエンドスピーカーのユニットが(ダイヤとか除けば)物凄く原価をケチったへなちょこマグネットユニットだらけの中でこいつはマジでヤバい。gotoとかALEよりヤバい。
https://voxativ.berlin/products/acxhb
しかし本来voxativのようなスピーカーは『超越的速度と音数、まとまりを持つが大変歪みやすいもの』です。
『究極の歪み嫌いと公言する人が何故このスピーカーを選び、かつどう使っているのか?』が気になったとのこと。
なおGAVAN氏はドラムや和太鼓を叩き、また非常に音楽経験の豊富な生音を知り尽くした方です。怖いねぇ。
ですので来訪前に淹れたコーヒーが緊張で手元が狂い、それは苦くて飲めたものではありませんでしたのよ?(お嬢様感)
とは言え結論から言うと魔界のサウンドはとても高い評価を(御世辞でなければ)頂きました。音数、位相、速度がとても良かった、とのこと。ああ、良かった。安心して苦いコーヒーを啜る我輩。(※追記 今はその時とは比較になら無いほど位相と速度が向上してます)
実際この一週間の音は自画自賛ですが物凄く良いと思います。弄らないようにそっとしておきたい…
ではスピーカーとトランジェントのお話を始めます。
スピーカーという高い山は二つの登り方がある。トランジェント重視か、それ以外からか。どちらから登るのか?
99.999%のスピーカーは後者です。
前者は何があるかというと、大体『瞬殺!スピーカー列伝』シリーズにあるような連中ですな。Quadやマンガー、マーチンローガンなど。マンガーに至っては『Neumannのマイクのモニター』というほどの速度です。voxativもやはり速い。
しかしこれらはf特など色々な項目に問題or限界があり、非常に難しいのです。
とにかく各々の使い手の能力を恐ろしく要求します。以下を読むと『99.999%のスピーカーはこれらの方式を選ばなかった理由』がわかります。
- マンガーは指向性が狭くビーム状であり、かつバッフル(というかユニットの大きさ)の影響で片チャン3つ使わないと音場に問題が生じる。あと最高に壊れる。3発構成だと日替わりで死ぬレベル。予備を買っておいても保管中に死んでる。
- Quadはダイナミクスが取れないので切ってウーハーを継ぐ必要があるが余程の高速サブでないと速度がついていけない。さらに後ろに逆相の音が出るのでセッティングが恐ろしく難しい。あと壊れる。
- マーチンローガンは半端者。ウーハーがついているがとにかく合わない。数十年も合わないと言われ過ぎて今や『究極のウーファー技術メーカー』に進化した。それでもまだちょっと合わない。フィルムをテンションかけて伸ばしておるのでその音が乗る。最近は緩和したが。あと壊れる、が水洗いと掃除機で延命可能。貴様にその勇気が有ればだがな!
- voxativはとても歪む。無論低音が出ない。指向性がビーム。アンプを死ぬ程選ぶ。此の世で一番選ぶ。メーカー純正の高価なアンプがゴミで駆動しきれない。さらにメーカーも凄まじいユニットは造り出した物のスピーカー設計に七転八倒して迷走気味。ショップが使いこなすのは不可能なのでサウンドピッ○のvoxativは延々と売れ残っている。なおこれは壊れない。
ほら、買う気しないでしょ?
無論我輩は全部持っていたぞよ。トランジェント狂です。
でもこいつらは工業製品としては厄介極まりないゴミクズだがポテンシャルは圧倒的で名だたるオーディオ野郎やエンジニアを魅力してきた。亜細亜のブランドホルホル成金どもは買わないが、欧米では…特にオーディオメーカーを興すレジェンド達やスピーカービルダー達は強い尊敬と憧憬を持っている。MAGICOやYGの中の人だって本当はQuadを理想として、何とか壊れず誰にも使いやすいスピーカーを、として走ってきた。パスもマークレビンソンもダンダゴスティーニもこういう超トランジェント指向のスピーカーが大好きだ。
上記のユニット達はネットワークで無理矢理補正もしない真のトランジェントがある。
ATC等のパワードでこう言うのを補正する機能もありますが(良いと思う)実際はこれらに遠く及びません。ユニットの物理限界があるので。
昔はヨーロッパではこう言うのがモニタースピーカーとして愛されてきました。特にドイツではQuadが使われてきたんですが、毎年替えるってよ。壊れるから。
その流れで、Quadのパネルの製造機械は今ドイツが継承しております。ドイツで新品パネルが買えるというね。
対してその他の一般的スピーカーは上記の欠点は無く、普通に使うだけでトランジェント以外は全て上回っている。セッティングも比較的簡単だ(簡単とは言ってない)
しかし裏を返せば『トランジェントはどう改良しても物理的に前者に及ばない』とも言える。要は『普通に使うとゴミだが相当な艱難辛苦と制限の無い創意工夫で可能性は青天井』と言える。
でも最近の日本のオーディオファイルはこっちに来ないので寂しい限りである。男のオーディオ道を邁進して欲しい。
次回は『トランジェントが良いと何があるのか?』というお話である。
おまけ
トランジェントの世界1、の最後に誰得の情報である。GAVAN位しか興味はないかも…だがスピーカービルダーには(メーカー含め)読んで欲しい。voxativだが『ユニットも箱もフローティングするのが歪みを最も廃す方法』だ。特にユニットを箱に取り付ける際に分厚いフェルトでフローティングする。ネジも小指と親指でドライバーを摘み、廻す。
トルクにより測定上も歪みが大きく変わる。いくつかのハイエンドメーカーも取り入れつつあるが、それの極限形の手法である。
対するリジット路線…特に究極のリジットは金属エンクロージャーではない。『ユニットの下に直接スタンドで持ち上げ支え、エンクロージャーに取り付けない事』だ。これ以上にリジットな方法はない。
この手法は大抵の場合理想です。
ただvoxativのような超軽量ダブルコーン、超越的強力マグネットで超高能率スピーカーには向かないんですね。
“トランジェントの世界1” への10件のフィードバック
おまけの件
タイムドメインSPの固定?方法
やGe3の自立台のようなものでしょか?
出川氏のSPも同じような形状ですね。
まさにタイムドメインもそうですし、ge3のマグネット下に木材で支えるアレですね
良くご存知で。
出川氏のスピーカーはこれの開発元woodwill製ですからこれその物です
こんちわ~。
只今、出川さんはウルトラトランジット狂にハマってますね。
このまま、進んで欲しいと思いますね。
EMSのユニットにMGESで密閉ですからね、早くないわけがないです。あのユニットは低歪み路線ですからMGESとの組み合わせは悪かろう筈もないです
読んでいて色々と汗が噴き出ましたが…
当方も、当初はEMSのユニットで(出川氏のものよりも少々凝った構造で)設計していました。
ただ、voxativの励磁を聴いてブッ飛び、途中から設計変更して貰い今に至ります。
出川邸に納入されたSPについては何度も伺っておりますので、良く存じ上げております。
トランジェントは、箱がある分、後面解放の拙宅の方が有利ですかね。
woodwillの店主には、拙宅の出音に調整して貰うべく、実際にお越しいただきましたが、ちょっと聞いたことが無い出音だと引かれました(笑)
完成は早くて3年後とのことです。
じっくり取り組んでいただきたいと思っています。
EMSは励磁マグネットが控え目なので(能率も10dB以上差があります)これは仕方ないでしょうね
振動板はダブルコーンとシングルで比べるのも難しいですが概ね同じくらいの重さのようです
voxativはパーマネントマグネットの方でも異様な物量ですがAC-XHはなおのことでしょう。
最もEMSのほうがスピーカーシステムとしての設計やアンプの組み合わせは格段に簡単だと思います
データ的にも印象的にも困難さは
voxativ>スープラヴォックス>EMSでしょう。
YouTubeで聴く限り、スープラヴォックスはメーカー純正のTQWT式スピーカーシステムも良く出来ていました
平面バッフルも良いですし、簡単です
voxativで平面バッフルをやると恐ろしく低音が出ないでしょう…メーカー純正のスピーカーも音が悪いし
値段も然ることながらvoxativはポテンシャルは圧倒的ですが大変ですね
EMSは余り気にせず使えるようですね。
聴いた感じも素直ですし、良く言えば使いやすく
言い方を変えれば励磁っぽくないとも…
Supraで組んで貰うことも検討しましたが、全然低音が出なくてまとめるのが難しいとのことでした。
woodwillの店主の印象は
voxativ>Supravox>>EMSだそうです。
水谷氏の設計も箱や平面バッフルなど色々と迷走?して後面解放に落ち着いています。
これとて最適かどうかは分かりません。
voxativは開放型やバスレフ、その他色々と試して貰いましたが、大容量の密閉に落ち着きそうな感じです。
本家も相当迷走しているのは仰せのとおりで、woodwillに何度も開発状況の問い合わせが来ているらしいです(苦笑)
動画送れとか。
3年で完成しないかも知れません(汗)
え、低音足りないですか?
当方、出川式電源に使われているCPMやLCMやMNRを使ってますがまぁうちの使っているユニットは安いのですが(一万円以下)気を抜くと飛ばすますね。🤣
後面開放型や無限大バッフルでもやらかしましたね~。
結局、minidspによるチャンデバでサブ使いになりました。
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