管球仙人界で炎上されても困るので先に要旨を書くと『新しい血を入れて視点を広げましょう』というお話です。
真空管の世界はめちゃめちゃ詳しい仙人のような人間が幾人も居り、その知識や経験には到底勝てません。真空管の判断(評価)も素晴らしくまさに仰る通りですヘヘェ、となる。だがオーディオの摂理と官能の理解(何故ヒトが音をそう評価するか?)に関してはあらゆる方向から追求してきた自負がある。
ロマン溢れる美しき管球世界に異界から這い寄る混沌が我輩である。いあいあ。
真空管のオーディオ世界はちょっと旧態依然とした部分がある。怒られそうだが。でも官能と科学の両輪から考えるとそう思ってしまうのですのよ。
例えばヒトがオーディオの音を評価するにあたり実はそれを支配する三大要素『音響、振動、動特性(静特性だって大切よ)』って真空管世界と縁遠いイメージがある。恐らく仙人達は『スピーカー、アンプ、プレーヤー』って答えるであろう(偏見)。しかしそれらの音の性格に致命的に影響しているのが先の三大要素と言えますな。
例えば管球世界は振動に無頓着である(事が多い。)
真空管はマイクロフォニックノイズがケーブル等より深刻な問題であるが…それはまあ構造から見て当然ですな…それは100年も昔から自明として言及も測定も為されている。だがしかしもっとミクロなレベルで振動の影響を感知するヒトの官能は凄まじい物がある。アンプの音はグラウンドの音、とはオーディオ有識者の世界では良く言うが、グラウンドの音は振動の音である。そう言う見地で真空管アンプのコンストラクションを詰められた製品は我輩は知らない。神懸りの設計者でもそこは無頓着である。ハイエンドであっても…例えばoctaveでも認識はゼロに等しい。日本人の知らないハイエンド管球メーカーでも大差はない。
『それの何が問題なのじゃ!死ぬが良い!』とか仙人に言われそうだが工夫無しのポンおきだと我輩には耐え難い歪みとなるのだ。Octave jubileeでも何でも。
ゴールドムンドあたりは官能試験から振動が非常に大切と言うことがわかり、加振機により振動の減衰の研究と開発をして異様な構造のアンプを造り上げたが、極端な話こう言うことである。
極まった最新のデジタル環境や理に適ったケーブルで固め、新たな革袋を誂えたならば新たな葡萄酒を入れなくてはならない。それには回路や部品もまた旧態依然とするべきではないし、また新たな革袋になると振動などの昔は気にも止めなかったファクターが顕在化するものだ。
要は『真空管はフローティングしようぜ』というお話です。買おう、αゲル。
以下、マイクロフォニック関係のおまけ
ケーブルのマイクロフォニックノイズ(触るとガサガサと載るノイズ。タッチノイズともいう)に対処すべくカーボン等を練り込んだ半導電層を持ったケーブルがあり、オーディオ用にも散見される。大体国産のケーブルに多い。何故か。
そして残念だが音は良くない。それはそれその物がキャパシタンス(コンデンサ)の塊であり高域特性が劇的に悪くなるからだ。情報量がごっそり減り、そのお陰で凄くSNが上がり定位がハッキリする感じがする。それを高く評価する向きも居られるだろうが。構造を見てカーボン系素材が声高に喧伝されていたら気を付けましょう。一昔、いや二昔前のハイエンド志向とも言えますな。
時代は『情報量』ですよ、奥様