この三種類、結構考え方が違います。そしていずれも得意なメーカーは少ない。何故なら相当に頭の使い方が違うからなんですね。『論理が通用するか、全くしないか』という事にも近い。
ではどの順番で論理が通用するか?
SP>>電ケー>>>>インコネ
です。意外ですか?
スピーカーケーブルは論理的には難しいんですね、それはこれが一番多くのファクターがあるからです。ある程度の電流を流しつつ非常に広い周波数帯域を流さねばならない。
はっきりいって高周波ケーブルなんてこれらから比べれば圧倒的き簡単です。だって『高周波部分の特性インピーダンスさえ保ててれば良い』のですから。だからあのような簡素な作りや物量で済むわけです。音声帯域は10~12オクターブに渡る広大な帯域です。
スピーカーケーブルはこの広大な周波数に於いて特性インピーダンスを考えなくてはいけない。最低40KHz…出来れば100KHzまではフラットでいて欲しい。そしてほとんどのメーカーのケーブルは20KHzまですらフラットではありません。マジで。
まずBeldenもスピーカーケーブル用の物はアウトです。というか2心の物はどんな構造でも100%アウト。4心でも厳しい。実はリッツ線でも普通は難しいです。cardasでも実は20KHzの時点で少し下がってきてます。2mmとかの単線2心なんて5KHzから下がりつつあるからね。
フカシこいてんじゃねえぞオラァ!という声が聴こますな。どこかのメーカーと違って死ぬ程調べて裏取りしないと物を書きません。記事一つの為に書籍や論文の屍が有ります。
スピーカーケーブルの大家、根岸邦夫氏の実測がわかりやすいでしょうから御覧下さい。ステレオサウンドで実測するという神企画。もう今のステレオサウンドはゴミ雑誌ですな。
グラフですが特性インピーダンスとか減衰量とかは難しいので分かりやすく真ん中のインピーダンス(mΩ/mloop)を御覧下さい。
acrolink 6N-S5000(20万円)
これヤバイよね。2KHzからもう怪しい。てかacrolinkのスピーカーケーブルは総じて特性はヤバイ。
cardas Quadlink(5万円)
リッツだけどこんなもの。6KHzあたりからヤバイ。束ねて2心にした時点でさまざまなしがらみから逃げられない。なおesotericのスピーカーケーブルはacrolinkのOEMなのにリッツを編組にして中空導体とし、おまけに4心にする偏執ぶり。esotericは機器設計よりスピーカーケーブルの方が遥かに論理的。なお電ケーは凡庸な造りの凡作。
belden 497
有名な赤と黒のツイスト。緩やかだが3KHzあたりから抵抗が上がる…が、acrolinkを見た後だと凄くフラットに感じる。導体が太くなればなるほど多心にしないと減衰が激しくなるってハッキリわかんだね。
では根岸邦夫氏の6対12心のケーブル
全然違いますな。まあミドルハイ~ハイエンドケーブルの世界は世界的に多心が主流になりつつある。2心とか4心とかは無理がある。
1心あたり0.5~0.6mmならば周波数的には100KHz近くまでフラットになる(細いのでこれを沢山使わないと低音が出ない、だから多心が必要になる)
これは0.5mm単線のLanケーブルである
100KHzまでフラットですな。なお内部に4対入っているのでそれらを使ったらどうなるかというグラフです。まあ4対(+-4心ずつ、つまりcat6を1本でhotとcoldを賄う)では全然足りませんで、特性インピーダンスからするとどうしてもこれでやるなら12対位は欲しいです。
そんなわけでスピーカーケーブルは多心必要というお話でした。
ハイエンドケーブルだとkimberのselectシリーズやJORMAはスピーカーケーブルが一番評判は高いし事実優秀だが理屈はハッキリしてるのである。
なおインコネは全く理屈が通じない。
待て次号
“電ケーとスピーカーケーブルとインコネの違い1” への1件のコメント
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