細かくは横長配置か縦長配置か、スピーカーの内振り具合、指向性などで変わりますが概論です
当然奥の壁にも1次反射はあります。あるのですが奥行きを設けてスピーカーを置く方が多いと思います。また相当極端な内振りをしていない限り横壁に比べハース効果などの影響はかなり少ないでしょう。
なので目的とやることが奥壁と橫壁と変わってきます。以前書いたコンサートホール設計の考えは橫壁以外でかなり有益となります。
しかしわざわざ多角形の部屋を造るならともかく既存の部屋のケアにシミュレーションは不要です。耳測定には最終的に勝てません。一枚ずつ追加されていく多種多様なルームチューニング材の細かな拡散や多段の複雑な吸音拡散はシミュレーション困難です。有限要素法とかでは低音の音圧はともかく質感などは到底シミュレーション出来ませんしね。コンサートホール設計も最後は物凄く試行錯誤して手を加えます。予算が十倍に膨れ上がったホールもありますな。
コンサートホールなどでの研究から明らかなことは
1.部屋が大きければ大きいほど初期反射を補い、残響の長さを必要とする(拡散が欲しい
TIASでHARMANがdigiwave持ち込んでた時ありましたが酷かった。逆にANKHやサーロジックを持ち込むブースやQRD diffractalなどを使用する太陽インターとかは悪くないですね
2.残響のf特
こういう奴です。
これでわかっているのは『超低音は多めに、超高音もあまり削らないほうがいい』ということです。低音が少ないオーチャードホールはオケの評判は良くない(研究でも明らかですが最適は楽器によってゴロゴロ変わります)
しかし100から200Hzは削らないとブーミーになりますし、コンサートホールと違って盛り上がって良いのは50Hz以下でしょう。
コンサートホール設計していたサーロジック曰く『残響はドンシャリがいい』わかる気がします。
そしてここが物凄く大事です
如何なる機構も残響イコライジングに如かず、置いて必ず良くなる物などない
大事なので大きく書きました。そこの適当に棒を置かせて売上稼ぐ某東京のハイエンドショップ店員、読んでる?
例えばリプラスの製品は超高音を大きく噴霧します(どの帯域をばら蒔くかは機構の細かさでわかります。リプラスは細かい。)どれも鉛筆と消しゴムなのですな。削ったり増やしたりです。時間軸のイコライジングというわけです。
そして『音が良い』とする残響のシェイプはそんなに個人差ありません。差があるのはスピーカーの指向性(或いは音響パワー)と家具や広さなどの違いなのです。なので何を使うと良いかより『各々の道具の特色』(どの帯域を上げ下げするか、拡散の度合い、反射音の質の善し悪し)を掴むことでしょう。
使えないダメな子などいません!
とは言えストライクゾーンの広い優秀な子から選ぶべきですが。かつ安い奴。
ルームチューニング材買う前にやること
安いと言えば最初にやるべきこと。部屋の造作や壁の共振を止めることです。只同然で劇的に良くなります。これをすることでルームチューニングや機材ロンダリングにかけるコストが劇的に減ることも。これこそシミュレーションや測定では割り出せません。
部屋の何かが共振していたりすると無意識に煩く感じたり濁ったり、或いは『壁を感じる』ようになります。そこにゲルとかを貼るとスッ、と落ち着いたりしますな。ルームチューニング材の選定よりここら辺の精査が先かも知れません
なお我輩が人様のお宅で音に大きく疑問があった際にやるのは『大音声シャウト』 (Michael Jacksonのパウ!を全力で)
これは非常に有効で、極小さなビビり音などを誘発しあまつさえその方向すらも感知します。武勇伝色々
- 新築専用ルームの不備(フラッター)発見
- 某ベテランマニアの天井の複雑な構造の出窓に共振とフラッター(レゾチップで解決)
- ホームシアターも兼ねているマニアのスクリーンのボックスに共振発見etc.
叫ばなくても石膏ボード壁を打診して響く所に5mm程度のゲルを貼るだけでかなり変わります
皆さんも叫びましょう。パウ!!
なかなか奥の壁の具体論に届きませんな、しかし上記のような概念を知り、更に共振など無駄を排してこそ安価に無駄なく出来るのですな。
その前にまず条件です。奥が窓&カーテンなのか?コンクリートか石膏ボードか?などですね
窓&カーテンは閉鎖する覚悟がないとなにも出来ないですが、カーテンは悪いものではないので大丈夫です(1次反射は殺せるし嫌な反射音も無い、質によるけど。カーテン聴き比べ、深いですよ)
その場合ある程度デッドになることを前提に他の残響を併せて調えます。
これとかいいですよ
ハイよ、アチアチの最強カーテンね!
https://www.creationbaumann.com/sortiment_funktion_akustik_ja.html
コンクリートは以前書きましたが、奥壁がこれだと定在波や反射のうるささ、有害さなど半端ではないのでガチる必然があります。以前書いたYAMAHA埋め尽くしの表面を他の音響パネルでケアでしょう。更に定在波に止めを刺したいので広目ならdiffractalとか狭めならBADみたいな特性も保証されているもの。
あとはスピーカーが何かも大切
取り分け指向性が広く高音のエネルギーが多いB&Wだと狭い部屋で拡散で詰めると死にます。故ラフィーノ&アネーロの狭いほうの試聴室とか狭いのにdiffuserの山にB&Wで『来訪に合わせてFMacousticsのアンプで一晩鳴らしておきました』ってうるさくて聴いてられねえんだよ、えーっ!
だから『完全な部屋』などあるわけがないのだ。スピーカー次第でチューニングせねばならない。どうも『完全なコンポーネント』『完全な部屋』を追い求めて堂々巡りの御仁もお見受けするが、そんなものはなく己でチューニングするのがオーディオですよ、と言いたい。Studioだってどこだってそう。ホールだってオケもピアノ単体も全てが最高などないのだ。
コンクリートも左右どちらかだと意外に大丈夫。とは言え定在波対策はして損はありません。
え、全面コンクリートですか!?できらあっ!
というか地下室とか防音室って音が大抵悪いんですよね。全面コンクリートで最悪の条件です。逆にこれこそ有限要素解析シミュレーションは有意なので背面空気層吸音壁など造って音響工学的に攻めないと音響の素人では九分九厘死亡確定です。
地下室か防音室造って死んだマニアをたくさん見てきました。