この度icatの電源が死に、余波でいくつかの機器も死んだ。南無三!
特にDDCの死亡が痛い。
PCの入れ換えもあり音質調整をやり直している。我輩の調整の不思議な有り様を見ると驚くのではないだろうか?
さて、急遽スイッチング電源で幾つかの物に供給することになった。その電源の取り回しも改めて色々試している。
そこで確信したこと。やっぱりスイッチング自体は音はリニアより、ことデジタルにおいては根元的に有利な部分は多いが毒もばらまく。ノーマルモード、コモンモードノイズが他の機器にも伝わり毒になるようだ。聴覚的にもノイズフロアが上がりうるささも載る。
またリニアよりノイズに対する耐性が著しく弱い。スイッチングは安くて小型で素敵、とか考える輩は考え直すべきだ。手を加えた時の音質の限界がとても高い、ということ。普通に使うと粗雑でリニアに到底及ばなかったりする。機器の設計が大変良くできたものだとただのスイッチングでも良い音だったりするがそんなものは稀であるし他にばらまくのは変わらない。
スイッチング電源は出力が降圧(AC100V→DC12Vとか、というかオーディオに於いてはほぼ全て降圧)だと測定上もスイッチング電源への入力のノイズの対策の方が出力側よりノイズ低減に有効だ。直感的には出力さえ良くすれば、となるだろうが。以下を参照
無論両方に入れるのも良い
さて、スイッチング電源の何をどうしたら音が良くなるのだろうか?
まずは先述のごとく入り口をケアする。事業撤退した究極のフィルターasukaは除き(悲しみ)、現時点では事実上アイソレーショントランスかチョークかになる。ただアイソレーショントランスも音の良いまともな物が消えつつあり難しい。中村も無くなるし。Rコアならフェニックスに、トロイダルならplitronに発注するとかになるのだろうか?うーん、普通の人にはハードル高い。
plitronは一応完成品は造ってはくれそうだが。
なので必然的にチョークでのノイズフィルターとなる。これは選択肢が多い。また音質調整という難題はあるが…それを言ったら何やっても音質調整は必要だだが、造るのは誰でも出来るし半田付けも要らないといえば要らない(圧着で出来る)。またそんなに気合いが必要な大変な事ではない。また良い製品も沢山存在するのでお金で解決属も苦労はしない。
お勧めのさみず電気のファインメット製品はトランスよりノイズフィルターの方ははるかに良くできている。多分トランスはノウハウの山で音質調整が難しいのだろう。チョークはコスト、スペースに優れているので裏を返せば同じコストをかけるなら凄い物量が使えるとも言える。
ただ自作ならともかく意外と無い部品(製品)がある。ノーマルモードチョークである。まあコモンと違いノーマルモードを殺すのは簡単、という意味なのだろうが、本気でやるならあってもいい。もっともノーマルモードチョークは小学生低学年でも制作可能な代物で、線を1本ぐるぐる巻いてhotの経路に繋げるだけだ。
フィルター製品だと例えばisotek titan v5。evo3は持ってた。これは一見EIコアトランスに見える。だがチョークなんですよ。これはノーマルモード、コモンモード共に搭載しておりグルマニズムの継承者と言える。なお円安などの煽りでコスパはグロい。
なおcold側にノーマルモードは要らないというか音質的には悪化しやすい。
出力側だが、これは簡単だ。
基本はこういうLT3045基板をアリエクで買い、繋げるだけ。半田も何も要らない。究極のレギュレーターとして猛威を振るった怪物。もう平滑回路でディスクリートでどうこうできるレベルのスペックではない近代技術の勝利。新世代の素子も出たらしいがこれで良いです。パラレルの数を増やせば増やすほど使える電流が増えるだけではなくさらにクリーンになる。
レギュレーターの基礎的な使い方だがレギュレーターとは電圧をまさにレギュレートしつつ電圧をよりクリーンにする。無論DC入力の機器にも全ての機器に入っているが中身が大抵カスなのでその前にクリーンにする為に使う。DC5Vが欲しい場合はそれ以上の電圧(+1V以上あれば余裕)を入れればウルトラクリーンな直流が出てくる。基本は5Vとか12Vとか基板ごとに定められた出力電圧だが、製品によっては可変抵抗で出力電圧を変えられる基板設計になっておりテスターで測ってドライバーで可変抵抗を回して調整する。汎用的かつ半端なわけのわからん電圧にも対応可能なので良いと思う。
こういうネジ留めのDCジャックがあり、これで誰でも使えるわけである。楽だし音も悪くなく大いに重宝してる。アマゾンにあります。
さらに徹底的にやりたい向きはスイッチング電源出力とLT3045の間にもコモンモードチョークを付けて良いだろう。ただファインメットやアモルファス(アモルファスも二種類あるが)のコアにちょっとぐるぐるするだけで終わりだ。
なおフェライト(これも二種類あるが)はお勧めしない。測定的にも聴感的にも歪みがあるのだ。
まとめると
1.入力側はかなり色々と物量、コストがかかる。
2.出力側はLT3045のような基板とかわいらしいサイズで良いので良質のコアにちょいとケーブルをぐるぐるするだけ
という感じ。
スイッチング電源専用のフィルターボックスとかを何処かとコラボレーションして造ってやろうかなと思案中。エンジニアも何とか使える(比較的)良心的な価格で。ファインメットのさみずと謎の特許回路を持つ峰電あたりのトリプルコラボかなあ。QAAシートもぶちこみたい。どうです?
“スイッチング電源徒然” への28件のフィードバック
一部の領域のエンジニアやアーティストは、芳醇なバジェットがありますが、
若手エンジニアや、特にアーティスト(ドイツなどでは国から支援受けられるのでまた状況が少し違いますが、日本は文化抹殺国なので)はバジェットがかなり限られるので、リーズナブルで質の良い製品ほどありがたいものではないです
是非是非ノイズフィルターも制作していただきたいと感じます
グルマンさんほどの知識と経験はもっぱらそういった製品の創作においても、真価を発揮されるものと思われます
そうなんですよね
どうしても使えるコストに制限がある、しかしオーディオ商売に於いて、特にアクセサリーは安くて良いものはとても少ない。これでは日本の楽曲の音質を広く底上げなど出来ません。
いくつかどこのメーカーも面倒(コスト)でやれてない概念でちょっと開発してみます。
スイッチング電源のケアは記事の通りですが、一般的なリニア電源の改善には向きませんか?→ファインメットチョークやLT3045等
LT3045はリニアにも大変有効です
何ならリニア側や入力機器に搭載されていても有効です
たいして出力のチョークはほぼマイナスになります。
入力側には『場合によっては』有効になり得ます。なり得ないのなら例えばチョークノイズフィルター搭載製品がどれもダメになってしまいます。
ただリニアは効率が悪いがゆえに非常にインピーダンスを低くしないと行けません。つまりかなり太い線を使用せねばならないです。2.6mm(30A用)くらいあって良いですね。
やっぱりリニアの出力側にチョークは駄目だったんですね〜
チョーク突っ込んでから何か歪みがある気がして。
2.6mmのチョークですか……
以前ノーマル用に2mm単線を巻いた時も中々に硬く大変でしたがそれのコモンモード(W1JR)とか行けるかな…
おお、その通りです
歪み、癖が発生しますね
結構不自然で私は耐えられません
まあ元々こういうコアって大電流な部分に原理的にも弱いんですよ、バルクハウゼン歪みなど色々起きます
で、スイッチングだと元がグロいノイズなので気にならないのですが(むしろ歪みが減る)リニアだと元が美しいので厳しいですね
これはトランスだって同じことなので、だから脳死でアイソレーショントランスは非常に懐疑的ですし事実廃れつつあります
2.6mm w1JRは無理ゲーかと
いや、実は前腕周り40cm、握力130kgの超人なら余裕かも知れませんが?
W1JRじゃない良くあるキャンセル巻きでもキツイです。
完成品が手に入れば一番楽なんですがね。
割と耳についてキツかったです。
大電流には向いてないけどスイッチングは汚過ぎるから行けるんですね。手で巻くのは無理ですか……何処か作ってくれると良いんですけどね。
リニアに2.6mmの単線を使うのはあくまでチョークの時だけで、使用しない場合は19364や汎用ケーブルなどで良いんでしょうか?
ファインメットのは完成品がありましたね
ちょっと改めて探しておきます
ええ、どうも理由の確信が持てないのですが交流的なインピーダンスが上がるからか?チョークコイルは太くないとどうしても音が細くエネルギーも怪しくなります
コイル以外は19364で大丈夫です
コアは小さくキャンセル巻きですが、サウンドデンの銅の方のコモンモードチョークは直径3.0㎜程度だった記憶があります。サイトでは銀しか径が書いてないですが。
サウンドデンの物を今所有しているものを確認しましたが多分3mmですね、2.6mmくらいかなと思い込んでました
で、恐らくはプロテリアル社の30A物だと思います
フィルムはあった方が良いです
ただ今回は冗長になるのと音質的に適当に入れて良い音のコンデンサが入手しずらかったりして書かなかったのです
何しろ基本輸入することになります
おお、コアのサイズの質問は良いところをつきますね
これも直感に反して(というかメーカーのやってることに反して?)スイッチングの入力より出力の方が大きくあるべきではあります。
電流が大きい方が必要なインダクタンスの大きさ、あるいは飽和の両面で大きなコアが必要です
にも関わらず、スイッチング電源にアフターパーツ的につける場合コストやサイズに制限があるのか?サイズが逆なんですよね
なので今回も出力側にこそ大きなコアを使ってます
入力側にはそれこそサウンドデン(プロテリアル)レベルでそれなりに良いと思います
ありがとうございます。
コアは主に電流に相関するということですね。既製品のDCフィルタでは小型のばかり見かけたので気になっていました。
プロテリアルは使いどころがありそうなので買ってみます!
以前の記事では出力側にフィルムコンデンサがありましたが、最新の見解では無い方がよいということでしょうか?
また、出力側コモンモードチョークはこぶし大コアではなくより小さいコアの方が音質的に有利ということでしょうか?
スイッチング向けにファインメットコアのチョークを推していますが、入力向け出力向けのコアに巻く線材のおすすめ等記事で纏めて欲しいです。
これは問題が起きにくい、これは問題が起きやすい等。
電源ケーブルに関しては重いと癖が載りやすい、でも電流が流れる場所は断面積が欲しい、エナメルは避けた方が良い(PEW)、単線はQがとあるのでチョークに適応する場合何が良いのか分からないです。何度も申し訳無いです。
なるほど、やりましょう
非常に重要ですが誰も言及しない内容です
ありがとうございます。楽しみにしてます。
LT3045のところは
https://www.shop-jspcaudio.net/shopdetail/000000000255/ps/page1/brandname/
で代用できないですか?4つでは不十分でしょうか?
お、こんな製品が。
電流が足りていれば良さそう…なんですが3045×3と×10で音はそれなりに差がありました。クリーンさの問題かimpedanceか、多分クリーンさかな
非常に使いやすく良さそうではありますが。
icatの電源が亡くなった理由って、何なんでしょう?
それについて何か我々が学べる事はあるのでしょうか…
ああ、無くなった理由は「猛烈な突入電流を連発する異質な電源機器の使用」ですね
LPS1.2という魔界の異物です
普通はそんなに壊れません
icatの電源、販売自体終了の模様。
なんと!!!???
そんな気がしていた…
代替を探さねば
icat電源
>>現行モデルの再生産も不可能だが、
PWR-L3の後継期は試作済みらしいですね。
新300W リニア電源に関して
納品は年明け以降になると思いますが、予約受付は12月にスタートできる見込みとなりました。お知らせまで。との事。顔本より。
値段いくらでしょうねー。
おお、試作済みなんですね
それは良かった…
いつも貴重な情報ありがとうございます
グルマン様
いつもお世話になっております。励磁電源のノイズ除去についてご相談させて頂きたく。励磁スピーカーを使用しており、フルレンジ100V,ツイータ24Vで稼働しています。各励磁電源のDC出力にLT3045を使いたいですが、LT3045は最大出力電圧が15Vとのことで、使えないようです。また、励磁電源としてリニア電源を使っておりますが、リニアの出力にチョークはよくないとの教えの通り、ファインメットのチョークを挟むと歪みがあります。(リニアの入力側も歪がある?のか良くなった感じがしませんでした)このような高電圧の場合、改善するとすればRGPCのようなものを各電源に突っ込むなどしかないでしょうか?もし、何かワザがあればアドバイス頂きたく。いつも申し訳ありません。
いつも素晴らしく面白い質問です
さて、電源ですが高度な内容なので見合った高度なお話で返させていただきます
おまけに励磁電源は致命的な音の支配力を持ちますから…
その上で圧倒的にオススメは定電流電源です
電圧固定より電流固定したい
さらには電圧は可能ならちょっと低めがいいですね
問題はどこで付くってもらうかですが、実験的にキクスイとかの電源をヤフオクで落とすという作もあります
グルマン様
回答ありがとうございます。ちょうど菊水PMC電源を使っておりましたので、電圧固定で使用していたのを電流固定に変更してみました。結果はうまく表現できませんが、音の流れがスムーズになったような気がします。
差し支えなければ、電流固定をオススメされる理由を教えて頂けると幸いです。
おお、菊水お使いでしたか
励磁スピーカーのコイルは電流に磁力が依存しており定電流のほうが安定します
電流も程度な量があり、やや少なめがおすすめです
ナチュラルになる傾向になります