来客


USKさんという海外に長らく滞在しクラシックに物凄く造詣が深い方がいらっしゃいました。今頂いた白ワインを飲みながら書いてますがめちゃめちゃ美味しい。これは相当グルマンディーです。そしてクラシックのみならずオーディオもかなりマニアックな所まで踏み込んでいるベテランでした。LP12+Linn krimaxフルシステムですが、そこから受ける印象と乖離して『オーディオファイル』でした。バイオリンなどもやっておられたとのことでクラシックから山を登ってらっしゃる方ですが、非常にモニター的な聞き方で聞き方は近い所がありアクセサリーや機器の評価は大層似ておりました。もはやクラシックの録音技師のような方です。

リッピングもドライブを相島技研に換装してもらうなど色々やっておられます。

Linn、というとあまりオーディオにこだわらずお上品に音楽を嗜む方々の(我輩と真逆の)タイプのユーザーイメージがありますが、本当はそう言う方々が使うべき物ではありません。ゴールドムンドと並んで使用法が難しく、普通にセッティングするとマトモな音にならないのです。ともにグラウンド関連に肝があります。そこら辺を良くご存知の方でして、何というか正しいLinnユーザーです。


我輩が人を招くことの最大の利益は『音源』です。我輩はオーディオの総合的知識に関してはもう敵が居ませんが、哀しきオーディオモンスターが故に音源に対する教養が足りません。マイクなり録音周りはオーディオの範疇なので凄く気にしますが。なので音源ソムリエ達の教えてくれる曲は財産です。何しろ良い音源無くしてオーディオの存在は無意味です。

例えば『カラヤンが1950~1960年代が良いのは録音技師がいいから』とかのお話で『はえー、スッゴい』と思いました。クラシックの録音技師なんて考えた事もなかった。プロデューサーが同じでも技師はバラバラ、とか仰るのですがどうやって知るのでしょう…恐ろしい。


今回の主題は偉大なダイアトーンのお話です。ダイアトーンは非常に先進的な設計であり、本来キチンと鳴らせば素晴らしい物です。エンジニアの弟子もダイアトーンです。ダイアトーンでモニタリングしてるエンジニアって今や絶滅危惧種ですな。

ではUSKのお使いのダイアトーンの最高傑作です

本当に素晴らしいスピーカーですが、オーディオショップに無いので全然売れませんでした。ミッドとツイーターはボロン。究極の素材の一つです。そして一目瞭然の指向制御。指向性の滑らかな繋がりなどを昔からダイアト ーンはケアしていました。性能とニュートラルさ、音楽性の全てを兼ね備えたスピーカーでした。

これは中核的価格帯のDS-77ですがなかなかです。

デジタル関連以外オーディオは進化しているのか?と思わせます。リスニングは元より本来はNHKでのモニタースピーカーです。まず一般的にモニターで使われるアクティブスピーカーでは到底敵わないでしょう。


なお最後に先程頂いたご感想です

>グルマンさん
本日はお休みにもかかわらずありがとうございました。
美味しいコーヒーとコンサートホールでも最上席のごく一部でしか聴けないような極上の音響空間、貴重な経験を積ませていただき感謝です。
最初に再生された打楽器群のアンサンブル、お寺のドラの音、チェンバロ、ローマの松、いずれもノイズレスな出音とフラットな特性と適切な音の収束がないとあのような多層な直接音や残響が手に取るように聞こえることはないと思いました。しかも音楽が熱を帯びてくるところまできちんと聞けるというのはオーディオでは未だかつてなかったかもしれません。



“来客” への6件のフィードバック

  1. グルマンさん

    身に余るお言葉いただき恐縮です。
    素晴らしい音響を経験させていただき、改めて感謝申し上げます。

    魔界の感想について、記事に加えて、魔界の音の立ち上がりの良さも特筆すべきでした。私がダイヤトーンを選んだのも、同価格の他社製品と比べて立ち上がりの良さで音がより自然に聴こえたというのもあったのを思い出しました。

    クラシック音楽で良い録音をする技師について、私が興味を持ったのは、アナログレコードでTAS Listの存在を知ってからでした。MercuryレーベルであればWilma Cozart、DeccaであればKenneth WilkinsonやJames Rockの録音がBest of the Bunchにあります。
    アナログレコードは高いので主に音源劣化が少ない初期盤CDで経験を積みました。
    カラヤン指揮で録音も演奏も個人的に一般に勧められるのは、各レーベル一つずつ挙げるならば、
    リヒテルがソリストを勤めたチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番(ドイツグラモフォン、録音監督Wohlert)
    ヒンデミットの画家マチス(EMI、プロデューサーLegge,エンジニアParker)
    ドヴォルザークの交響曲第8番(Decca、プロデューサーCulshaw、エンジニアParry)

    カラヤン指揮の録音エンジニアといえばHermannsが有名ですが、彼はあまり自身の個性を録音作品に残す人ではなかったように個人的に感じています。

    • とんでもありません
      いや、凄い
      素晴らしい録音をご紹介くださりありがとうございます
      もう連載してほしいくらい。
      これを読んでくださってる方も『これは凄い方だなあ』と思ったでしょう?こんな切り口ってそんなに聴けるものではありません。

      • グルマンさん、お褒めの言葉をいただき恐縮です。音源紹介、連載するほどのボリュームはないですが、需要がありそうなら他の演奏家も含めてもう少し書きましょうか?

        1点、この場をお借りして、念のため補足させてください。
        カラヤン指揮のお勧め録音のうち、チャイコフスキーは私の手持ちの24/96ファイルは正相でした。他方、ヒンデミットの手持ちの24/96ファイル、ドヴォルザークの手持ちの初期盤CDのリッピングは逆相で、位相(極相)反転させないと本来の音で聴けません。
        カラヤン指揮のみならず、他の演奏家でも逆相でのリリースはよくあります。また、同じ録音でもCDでは逆相だったが、ハイレゾでのリリースは正相のものもあるし(ドヴォルザークはこの例)、その逆のパターンもあります。ただ、CHANDOS、TELARC、グルマンさんに聴かせていただいたReference Recordingなど高音質を謳うレーベルでは、逆相リリースは私の手持ちの限りでは記憶にないです。
        私はラズパイ4に入れたLogitech Media Serverの設定を使い、NASに格納した逆相音源を極相反転させて聴いています。

        録音スタッフ情報はdiscogsで検索すれば出てきます。演奏家毎に録音を網羅した最近のCD Boxにあるクレジットを同サイトに載せているものを個人的には信頼しています。

    • USKさん
      貴重な情報をありがとうございますチャイコフスキー1番を探したところ手持ちに2007年録音のものがあり、Wohlertがプロデューサー、Hermannsがバランスエンジニアとして併記されていますがこれでよろしいでしょうか?

  2. Luxmannさん

    リヒテル&カラヤンのチャイコフスキーは1962年に録音されています。再販が2007年なのだろうと推測します。
    録音スタッフはおっしゃる組み合わせで合っています。

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