最近頻繁に書く言葉です。
が頻繁に書いてるのに絶対に伝わってない言葉でもあります。なぜなら『この一年位で我輩が造った概念だから』です笑
概念というより新たな認知、でしょう。この一年で体得した認知は3つ有ります。真の速度(各帯域ごとの位相)、業務用の共通認識のエネルギーバランス、そしてこの残響のf特、です。残響のf特は専売特許(固有スキル)ですね。
スキルツリー的にはアクセサリーをやり尽くした先にしか会得出来ない物です。
この残響のf特は色々な要因により決まりますが、大切な事は『全然違う要素と単位なのに互換性がある』ことです。例えば室内音響で生まれたウルトラハイ落ちがあったとして、それは例えばケーブルや機器、真空管の選別、ボードなどであがなえてしまいます。要は『我々は残響のf特の総和を聴いている』わけです。
具体的に書くと、例えばあるケーブルがあります。分かりやすい例だと、振動的にQがあれば音にもやはりQが生まれます。そのQは長く続きます(これはスピーカーにしろPEQにしろ常識的概念です。)ただわかりやすいQだけではなく、それは振動においてはあらゆる周波数に大して残響のシェイプがあるわけです。
またケーブルだけでも振動だけではありません。電気的な問題もあります。例えば測定レベルで特性インピーダンス的に広帯域なケーブルはウルトラハイの残響(エネルギー)も上がります。例えば例のグルマン式蜜蝋煮ケーブルは振動のみならず断面積、表面積、近接効果の低減(リッツ線は特性が悪い)を全て考え尽くしたから情報量が圧倒的かつフラットなのですね。
あるいは此れは何らかのノイズも含まれるでしょう。高調波歪みなどもノイズも周波数特性を持ちます。無論スピーカーのユニットやエンクロージャーは言うまでもありません。
スピーカーと言えば周波数ごとの音響パワーも非常に大きな影響を持ちます。例え普通の測定で軸上でフラットだとしても指向特性でエネルギーは違ってきます。例えばB&Wはツイーターが野放図に高域を撒き散らしますし、逆に指向性制御されたスピーカーは相対的に高域のエネルギーは減ります。どちらが良いというより、部屋を含めて残響のf特のまとめ方がことなるわけです。例えばB&Wがベストになる環境でmagicoやKEFを置いてベストな可能性はゼロです。
そしてこの認知はレベルがあります。強いオーディオファイルやスタジオのプロはしっかりとした認識はしなくても何となく感じ取ってます。もっと低い段階の人でも大半は『快』『不快』とかは感じ取れます。料理に例えると、前者は高次元な美食家です。美味い不味いのみならずその理由をある程度的確に把握してます。後者は普通の人として、それでも美味いものは美味いと大抵はわかります。いや、それすらわかんない人も居ますけど、それはオーディオと同じですな。
そしてこの認知が完全に体得出来ると『味の構造そのものが手に取るようにわかるので如何様にでも味を調整できる料理人』になるわけです。『美食家』はその状況での『物の善し悪し』しか語れません。『こう手を加えれば凄まじい味になる』とかは思い付かないのです。
この認知を手に入れた後、飛躍的に変わりました。上述の3つの認知を啓いてその後、プロ達からの音の評価は劇的に上がりました。『聴いたことがない』と。
ただ真の速度や普遍のエネルギーバランスを文章で説明するのは不可能ですので(ただこれらは先にある程度認知している人々はいる。)この残響のf特だけはなんとかかんとか説明出来るかな、と思いました。この概念すら知ってしまえばきっと上記の『美食家』ポジションの方で『料理人』まで達する人も出てくるかも知れません。ただ『多くの物を持って膨大に試行錯誤する気概』がないと伸ばせないスキルツリーかもしれません
“残響のf特” への7件のフィードバック
簡単に言うと、ハイパー寺島靖国みたいなもんですね(爆)。
彼も「部屋の都合上どうしても無理なところを
ケーブルでなんとかしてしまおう」という信念で
日々ケーブルを交換しているそうです。
また以前、ユニオンアクセサリー館の店員さんが、
似たような話をしているのも聞いたことがあります。
「その欠点、他の部分でも補えますよ?」的な感じで、
アクセサリー沼へといざなっておりました。
この、ジャンルを跨いで行う、クロスオーバーな
割れ鍋に綴じ蓋は確かに有効なのですが、
かなりのアクセサリー経験値が必要なんですよね…
寺島さんなら言いそうです笑
そしてアクセサリー館の主もいかにも言いそう…
本当は『部屋の問題は部屋で始末する』『全てがフラットに』ということでしょうが、オーディオが極まると『それって不可能だよね?』とわかります。だってどのスピーカーを選ぼうがもう音響パワー的にフラットじゃないからで、結局意識せずとも全員が結局割れ鍋に綴じ蓋をやってるわけですね。
さらに言えばあらゆるコンポーネントがその開発で割れ鍋に綴じ蓋をして出来ています。コンデンサひとつが割れ鍋ですから。出来た結果のコンポーネントもどの製品でも『割れてない鍋』という幻想的なものはありません。
極力フラットなものを選びつつも、必ず何処か要所で美味い調整が必要です。
コンポーネント自体が割れ鍋に綴じ蓋、まさにそうですね。
私は、Aの問題をBで、Bの問題をCで、Cの問題をAで、
という感じで、相互間で問題点をころころ転がして
最終的にどうにか辻褄を合わせています。
そしてこの考えでいくと、
「聴覚上一発でアウトになるような極端なアクセサリー以外の
全アクセサリーは、使える可能性がある」という結論になり、
田中伊佐資さんの言う「アクセサリーには敗者復活があるから、
今いらないと思っても手放さずに取っておく」ことが重要と
わかります。まあ、つい、目先の現金欲しさに売っちゃったり
するんですけどね…w
おお、まさにその通りです
『癖(Qがヤバいとか)が無ければ其の時は微妙でもそのうち日の目を浴びる時が来る』です
田中伊佐資氏も良いことをおっしゃるなあ、本当にそうです
ボードや木片一つ、ドンピシャの綴じ蓋に突如として変貌します
こんばんは!
記事にわかりやすくまとめていただき、ありがとうございます。
この知見を広めるためBlogリンクを私のPOSTで照会させていただいてもよろしいでしょうか?
また、私へのリプの中でプロの方が下記コメントを残していただきました。
【「最低でも」静的なF特はフラットに近づけるべきだと思います。機材やEQ/DSPだけでなく、部屋の特性なども。その辺があまりに違うとどうやっても入力に近づかないですから。】
これは、【現場で聴いた音がモニター環境でもそのまま再生されている状態】にするためにはどうしたらいいのか、という問いへの答えですが、今回のグルマン氏のお考えに近いように感じます。
もちろん構いません、遠慮なくいくらでもお使い下さい
ああ、そのプロの方のお話は全くその通りです。またこの方が素晴らしいのは『最低でもf特を』なんですよね。つまりその先があることがわかってらっしゃるし、残響のf特を意識せずとも聴いている可能性は高いです。
この割れ鍋に綴じ蓋論も『そこらへんはフラットな上でのその先の世界』ですから。
ありがとうございます!
大変勉強になりました!!