恐らく過去最高にマニアックな記事です。ご興味があらばどうぞ。
lowtherに使うエンクロージャーについて質問があり、記事にした。コメント欄では無理なので。みなさんもバンバン御質問してください。我輩のオーディオの経験は自分でも把握出来ない程膨大ですが、そのうち何を記事にするか悩みます。御質問で生まれる記事も多いのです。
lowtherは我が魔界のvoxativeの原型ともいえ、lowtherに憧れてそれを超えるべく設計された。lowtherはイギリスのスピーカーユニットで、最高にスパルタンな『スピーカーユニットの一つの理想』を実現した本来は貴族向けのユニットだ。
より微小信号に応答するためには『なるだけ軽いコーンを』『なるだけ強靭なマグネットで駆動する』ことだ。lowtherはそれを為したわけだが、裏を返せば『何故他があまりやらないのか』ですよね?メーカーもユーザーも大変だからです。
特に普通に使うと低音が出ず、バスレフも合わない。平面バッフルが良さそうなものだが、それで成功しているケースはほぼ無い。バックロードホーンしかないのだ。さらにアンプも選ぶ。まず石では鳴らない。玉でもマグネットが強靭だからか駆動力が必要だ。さらに歪みを駆除する技術も必要になる。特に硬質フェルトをユニットフレームの裏に貼り、優しくネジ留めしてアイソレーションするのは不可欠。無いと現代的再生の入り口に立てない。
あとサブウーファーとスーパーツイーターも必須。ただこれらの調整はオーディオの全ての項目の中で最も困難。
つまりは普通に鳴らすと『低音が出ず怪鳥の叫びのような嫌な音が載る』わけですな。その代わりそこを全て解決すると如何なるスピーカーも『音数少ない』『鈍重で生とは程遠い』と思えるほど強力。LV99で装備しないとステータスが大きく下がる伝説の武器的な何かである。
さて、メーカー自体はいまだに新しいエンクロージャーを開発している。何れもバックロードホーンだ。昔からやっているが、上位機種はフルレンジスピーカーを後ろや上向きにもつけている。つまりスーパーツイーター必須と暗に認めているわけですな。
でもオーディオの経験値を積んだ方こそ思うことがある。『バックロードホーンがハイエンドに通用するのか』である。『遅れる』『洞窟のよう』『木に竹を接いだよう』とも言われる。結論から言うと『設計次第』である。
まずこれはありがちなバックロードホーン
これはvoxative
ホーンが比較すると圧倒的にスムースだ。これは個人の作では困難な作りだ。上のは明らかにそうではない。内部の道を90度で造ってるのは論外で、これをホーンの上下共に階段状にしているのはそれよりは遥かに良い。ただ階段状というのもvoxativeなどに比べれば流れを阻害する。道がスムースでないとロードも上手くはかからない。共鳴して鳴りやまず洞窟のようという揶揄につながる。また定在波も発生する。
余談だがハセヒロの積層型ホーンスピーカーは音道は最高にスムースだ。特に小型フルレンジ版はなかなか音が良かった。ただスムースなだけではバックロードホーンは完成しない。ユニット背面の空気室をどう吸音するのか、内容積は?などがユニットによって最適解がまるで変わる。だから『メーカーもユーザーも苦労する』のだ。
PMCも原理はまるで違うが大きく分ければ仲間とも言える。
そもそもホーンではない。ホーンとは『ある関数にしたがって断面が大きくなっていく』のだがこれは違う。吸音材が肝で、ようはユニット後ろから出た音を吸音材で吸って低音だけを外に出すことで低音の圧倒的拡大が可能になるわけだ。
バックロードホーンの最も近縁な亜種はTQWTでしょう。
いわゆる共鳴管(バスレフもその仲間)と違い、テーパーがついていることで早く収束するのです。非常に優れた方法で、早くて非常に下まで低音が伸びます。技術あるメーカーは使ってますね。特にフランスで人気のある方法で、励磁型で有名なsupravoxの公式エンクロージャーはこのスタイルです。ただ上の図のように開口部が閉じている(というかバスレフポート的な動作になる)と低音は増えますが速度は落ちます。やはりスムースな開口部こそが『最速』の道です。
あれ、段々とlowtherから離れてきたぞ?
続きます
“バックロードホーン(1” への4件のフィードバック
単刀直入に質問と云うか記事のリクエストさせて下さい
グルマン様だからこそ語れるFundamentalそして鈴木哲氏に関して過去〜現在のポジもネガ交えた歴史的深堀り総解説ぶっちゃけ編を是非宜しくお願いします
これは熱い題材を提起していただきありがとうございます
あちこちに飛び火する内容ですが面白くなるはず
やります!
NU-DDCが予約完売みたいですがグルマン様は予約されましたか?
図々しくもまたまたリクエストさせて下さい逢瀬の特集記事を是非お願いします!
なんと
実は録音機材にてんやわんやで予約してなかったんです
それも落ち着いたので次に必ず買いますが