いわゆる無印のですがね。なんというか音源次第ですけど、デジタル録音でなければ本質的に最も生々しいと思うんですよね。特にオーケストラが異様に生々しい。音質はオーケストラとか以外極まったデジタルにどうせ絶対に勝てないのでこの路線は良いと思う。しかもリード線を変えれば音の基礎性能自体すらなかなか良いです。ステレオタイプなSPUらしさは減りますが。
ただ非常に難しいカートリッジです。持ち主のオーディオぢからが足りないとろくな音が出ないカートリッジ。
難しい理由が特に大きいもので2つあります
1.アームを選ぶ
前にも書きましたが、アームをかなり選びます。アーム自体が軽いとまともな音になりません。重いアームとは?オーディオテクニカ1501/1503、まさに純正たるオルトフォン、そしてSMEの初代か、R辺りでしょうか?
SME初代は日本に輸入代理店がなかった頃なのでレアですね。オルトフォンはインサイドフォースキャンセラーがないスパルタンな仕様ですがダイナミックバランス型でクラスが高いです。
2.針圧が難しい
他のカートリッジより難しいと思います。その証拠に公式の発表がゴロゴロ変わる。
元々は2~3gでした。その後何回か転がりついには3~5gに。超重針圧です。
他のカートリッジと違って、非常に広い針圧の幅に(2から5gまでは公式の範疇ですから!)それぞれ音の説得力があるから難しいのです。ただ意外と2.2g~2.3が歪みが少なく、伸びがいい。ハイファイです。2.6gぐらいまではありかな。あり良いです。やはり元々の推奨針圧が良かったのではなかろうか?軽針圧もお試しください。
3.意外とレコードスタビライザーが良い結果を出すことがある
レコードスタビライザーは本来は好きではありませんが(そんなに沢山は試してないけど)比較的重針圧が故か?レコードスタビライザーの恩恵が見られます。というかネガティブがポジティブを上回り得る。特に比較的新しい音源、デジタル録音だとあった方がいいかも?現在はSTILLPOINTの高い奴を使ってます。抑圧感があって好きではないのですが、音の豹変ぶりは特殊な機構だけあり素材勝負のスタビライザーとは異次元です。ただ他のカートリッジでは無しよりの無しですかね
4.インサイドフォースキャンセラー
論理的にはないとダメなはず。なんですがSPUには要らない可能性があります。かなり試しましたが、インサイドフォースキャンセラーをかけなくとも定位は揺るぎないですし、かけると音が明らかに響きがなくつまらない音に。そもこれの専用、純正たるオルトフォンのアームはインサイドフォースキャンセラーはありません。ダイナミックバランスだから、というわけではないでしょう。だってSME series5だって他のカートリッジにはインサイドフォースキャンセラーは音質や安定性的に必須でした。
理由はまるで見当がつきません。インサイドフォースキャンセラー関係はネットを見てると珍説が多いです。インサイドフォースは針にかかる、とか言い出すのが一番噴飯物でしたが。そして『2.5g以上針圧が高いとインサイドフォースキャンセラーはいらない』とかいう珍説も。まあ出所は往年の池田勇氏なんですが。理屈以前にですよ、SPUは元々2g~2.5gとかで使われていたわけですから。SPUにインサイドフォースキャンセラーの是非の答えにはまるでなりません。むしろ針圧が高いとインサイドフォースは上がりますしね。
ただインサイドフォースキャンセラーは弱め弱めが良いでしょう。基本的には必要悪な存在です。いっそピュアストレートアームの方がこの厄介なインサイドフォースキャンセラーを使わずに済むので精神的に楽ですな。
ただSPU GEは無論大変古いもので、生産数は多かったし長きにわたり造られていたのでタマはそれなりにあります。ただ今のところ全て良いコンディションのものしか持ってないのですが。無論本当の初期の物はまともなコンディションではないでしょう。
となると現行生産品ではどうなのかですね。気になりますが買いそろえるには高い笑
まともに聴いたのは現行ではsynergyとroyalくらいですかね。いずれも素晴らしいカートリッジです。音はですね、SPUというのはキュビズムであり、色々な側面を見せてきます。太いとかレンジが狭い、とかは使いこなせてない…極僅かな一面しか見えてない事を吐露しています。その中でsynergyとroyalはオリジナルの別の部分をクローズアップして見せてきます。ではあってもそれらもまたやはり色々な側面を見せてきて極めて奥が深いカートリッジです。
渋谷のタワレコでSPU全部聴き比べ出来ますが環境が微妙だと判断がつかないかな、と。誰か試してみて下さい。