昨日お話ししててその話題に。
オーディオやってると気づく人は気づく話ですが、昔の録音物を聴くと電磁波の干渉などが少ない音がします。現代の物でも特に良い物はありますが。ただ気合いを入れて造られたクラシックでも現代の多くの音源に電磁波の影響を感じます。それ以外にも機材の音質差を感じます。具体的には生にある細かい空気感が無く、不自然な付帯音がウルトラハイに載ります。
これは何らかの形で電磁波の干渉のあるなしを体感すれば良くわかります。電源環境とか含めて現代の方が色々な意味で環境が良くない。携帯電話とか録音作業に臨むときは絶対に切るべきです。只で音が良くなるんだからやらない理由はないです。
次に電源環境です。無論現代の方が圧倒的に汚い訳です。逆にsonyの高めのポータブル録音機で録られた物が意外に良いのはバッテリー駆動だからでしょう。かなりナチュラルに感じます。お勧めのstereo誌 究極のオーディオチェック音源は激烈に音が良いですが、屋外の録音はポータブル録音機ですね。
さらには機材の影響が大きいです。昔は質の高い真空管の機材が多かったりします。1920年代から真空管の力で録音を増幅してカッティングする機構が生まれました。その前は増幅なしでしか録音出来ず振幅が取れず、再生にはなんと針圧が100g必要でした。しかも現代では神器的な扱いのヴィンテージ機材が使われてたりしたわけで。western electricとかphilipsとかtelefunkenとか。NEVEなんて勝負にならないです。古い音源でも良い機材が使えないとおぼしき物はまた別の意味で歪みが多く、イヤなものですが。
そしてライントランス。昨日のお話で『トランスの音をシュミレーションするプラグイン』の話がありました。例えば推薦のWE111Cもあると。それだけ需要があるわけですな。そも業務用機器にはトランスは入力、或いは出力にもあるのが当然でした。600Ω伝送とかしてたのもありますが、グラウンドループを防ぐのに必須だったようです。ただ600Ω伝送は時代のあだ花で、とうに滅びてます。そも電話の規格でしたし。
録音に於いてトランスの影響力は大きいはずです。実際再生に於いては電磁波的な音が大幅に消えます。余計な何かがバッサリ消えます。果たして帯域制限のおかげかは微妙なラインです。それは機器以上にワイドレンジなトランスでもそうなるからです。様々な物を見聞きするとあらゆる路線の機材でアナログの音に回帰する傾向がありますがそれならライントランスの破壊力は強力です。最もWe111cは確かに現代録音の呪いはバッサリ消えますが、『アナログよりアナログ的』になる劇薬なので録音はともかく再生に使うべきかは難しい所です。汎用的には良くできたファインメットが良いです。音数も多くクリア。適度なご利益が得られます。ライントランスならば新しい音源でも呪いが取れるのでもう少し流行っても良いと思います。
“録音物の時代” への14件のフィードバック
そのファインメットのライントランスですがズバリグルマン様のイチ推しは何処の製品の何という型番になりますか?
ズバリさみずアコースティックスの1545です。
下位の1010も素晴らしいですが。ルンダールなどまるで比較になりません。
ちなみにここのファインメット電源トランスも聴きましたがコアが小さい音で結構微妙。ライントランスとチョーク屋です。
毎度貴重な情報有難う御座います!
電気的知識が皆無で余りにもお恥ずかしいのですがこちらはバランス接続の運用も可能ですか?
もしその際はXLRケーブルをどのように接続(ハンダ付け?)したら宜しいかご教示戴けませんでしょうか?
すみません、どの記事の話しか私が使ってるサイトの仕組みではわからないのです
どの製品でしょうか?
こちらこそお騒がせしてしまい申し訳御座いませんでした
さみずのライントランスに関してだったのですが先程直接さみずに問い合わせしてみました
改めましてお尋ねしたいのですが1545と1010ではやはり音質や性能は大分違いますか?スペースや予算の問題アリで1010が好都合なので
バランスアンバランス自由自在のはずです。
さて、音質の違いですがそんなに大きくはありません
1010でも無味無臭で音質にまるで損失がない、基礎性能は全く問題ありません。低音が弱いわけでもない。ただ上位の方がコアが大きいので低音は出ます。結果的にストレートなサウンドになります。
1010注文してしまいました!今から楽しみです
あっさみずのライントランスはアクセサリー番付外でしょうか?汗w
おお、そうですか!
あ、ライントランスはアクセサリー扱いしてませんでしたね…1010ならば少なくともAには入りそうですね
さみずTLT1545手に入れました!
以前アドバイスを受けたDave-パワー間に使ってます。
パワーはSound Partsにしました。お勧めをまるパクりです。
Roon専用PCのMBもEVGAからMSIのMini-ITXに変えました。変なデジタル臭さが消えました。
あと、TVCもさみずに変えて大満足です!!
私のような最下層のオーディオ人にとって、「ノイズとは何か」がわからないことが最大の問題です。師のお勧めをパクり続けることで「あれがノイズで、音を邪魔していたのだ」と気づくことばかりです。
アナログに使う金がないです(涙)
元は50後半-60年台ステレオ初期のクラシックレコードがメインのアナログ派だったので、いつかは再チャレンジしたいです。
おお、素晴らしい!!
そこまでやっていただき大変恐縮です
さみずのトランスはDAVEのいかんともし難い高周波ノイズ(開発者が出力ケーブルにフェライトコア噛ませろ、と言ってた)を相当取り除き、結果デジタル臭さ…デジタル臭さは結局ノイズと思ってますが、それが劇的に良くなるはずです。それでいて間引かれる物がゼロに近い。
ノイズは無くなることで逆に気づくはずです。
それとサウンドパーツですがゲルを激しく推奨します。というかゲルがないと真空管の振動の癖がどうしても気になります。まあ真空管機器の全てはフローティング必須と思いますが。
いつもブログを拝見させて頂いてます。
さみずアコースティックの1545や1010がルンダールよりも良いとのコメントを見たのですが、Marinairと比べたらどうでしょうか?
実はアウトボードの内蔵トランス(ルンダール)をモディファイしてMarinairトランスに換装しようと構想しておりましたゆえ…
返信遅くなり申し訳ないです
ご愛読ありがとうございます
素敵な質問です
語るととてつもなく長くなるので簡単に
1.まずライントランスには2種類あり、完璧なニュートラルを保ちながら何らかの恩恵だけを得ることを理想とするタイプと積極的に何らかの音の変化、私が開発した用語である残響のf特に何か影響を与えるものです。
2.さみずやルンダールは前者、業務用で使われてきた名機達は後者です。
3.しかしルンダールは理想を全く体現できず、劣化を感じます。さみずなどの良くできたファインメットライントランスと比べると2秒でわかります。純粋な上下関係です。
4.なのでMARINAIRなどとは路線がまるでちがう。劣化の少なさはさすがに究極の先端技術を使ったさみず達になりますが(巻き線も悪くないと思う)MARINAIR達は「音の残響のf特などの概念を経験的に操れるモディファイの達人が使う分には代替のない威力が出るものの、ただ交換して良くなる可能性はかなり少ない」です
というわけでルンダールからならさみずがお薦めというか絶対に良くはなります
お忙しい中わかりやすいご回答ありがとうございます。
今回モディファイを検討してた機種がSPL MixDreamというサミングミキサーでありまして、これの導入目的がデジタルノイズを払拭しハイファイで高品位なアナログサウンドを抽出したかったゆえです。
ハイファイでニュートラル、そしてハイディフィニションなサウンドが好みでありますので、そういう意味でもさみずのトランスをこの機材に組み込めば私の理想が得られるのではないか?とブログを読んで半ば確信しておりました。
ただ、Marinairトランスはモディファイ職人達にも重宝されており、それを求めるエンジニア等も多いので…
「音の残響のf特などの概念を経験的に操れる」、この言葉の重要性に気づけただけでも大満足であります。
そういう意味ではマスタリング業界で有名な中川さんがMarinairをAvalon AD2077に組み込んだのは特性を知り尽くした上での理に適った選択だったのですね。
なるほどSPLですね
確かにハイファイなアナログサウンド路線です
MARINAIRは入れればOKな万能の武器ではありません
どちらかというとニュートラルでハイファイな状態に入れれば録音や再生過程でどうしても失われる物を補い真のニュートラルになり得るでしょう。