伝説的な古代の遺物である。
アナログをやっている方々には釈迦に説法だがちょっとだけ解説を。これは現在に至るMCカートリッジの始祖である。ほぼ全てはこれの構造を模している。完成度が高いとも言える。
そしてstreo pick upの略でspuなわけで、これがステレオ再生の真祖である。
現在でも世界で珍重し愛されている。曰く『現代のカートリッジを超えている』と言う人まで。ちょっとかじって『帯域が狭くて使い物にならないペソ』とかいう輩もいる。評価が別れる理由は使い方が難しいのである。
まず最も多い理由が『アームが合わない』。SPUの重さは30g以上と非常に重い上に比較的重針圧である(3.5gとか4gが推奨されてはいる)。カートリッジが重い軽いアームでは振られてしまいまともに再生は出来ない。事実測定ではエラーが増えるのだ。
で、大抵のアームは軽量(ハイコンプライアンスローマス)向け。なお我輩が現在非常に評価しているオーディオテクニカの1503シリーズは重量級。かつ以外に感度も高くカートリッジを選ばない。
次に何で受けるか、だ。SPUはインピーダンスがめちゃめちゃ低い(2Ωとか)。で大抵のMCトランスやフォノイコライザーでは入力のインピーダンスが高いのでそこで高域が暴れることもあるとか。今回は例のcambridge audio DUOでやるがどうでるか?
型番は色々ありまして、丸針のSPU GとかAが最古。Gは普通のシェル、Aは専用アームでないと使えない業務用的な路線。
Eとは楕円針のことでSPU GEとなる。楕円針のほうが高精細で精密な音がする。
さてさて、聴いてみよう。針圧はかなり余裕でかけられた。凄いぞテクニカ。取り敢えず3.1gで聴く。
で、聴いてみた…素晴らしいねコレは。恐ろしく自然です。自然という意味ではほぼカンストしている。これが規範ならば今のカートリッジの進化は無きに等しい。また他所でしか聴いたことはないが光カートリッジへの重いアンチテーゼである。自然という一点で現在の光カートリッジシステムでは勝てないからだ。アナログにしかなし得ない何かが最大限に聴ける。そして楕円針のお陰か自然さ極まるからかわからないがレンジとか含めた不足を感じない。
現代のSPU達が果たしてどうなのか?進化しているのか退化しているのか?非常に気になる。