真空管のみならずインシュレーターは最後はフローティングに帰結する、と思う。無論何か音の残響のバランス取りをするために木材は部分的には使うべきと思いますが。というかめちゃくちゃ使ってるし最近もspecのインシュレーターを追加購入してみた。
前にも書いたが世界のハイエンドの潮流は圧倒的にフローティングだ。(ゲル類含む)。硬いものは反射を免れないから測定上は余程全体的なコンストラクションを構築してない限りあまり良くはない。まあ最も人工ダイヤスパイクとかあったら聴いてみたいが。でもホントにやろうとしたんですが高いんですよね。なおロンズデーライト(通常のダイヤより硬い六方昌ダイヤ)は入手不可能。やはりダイヤより硬いウルツァイトは人工ダイヤより安価。誰か試してみてくだしあ。
上の図からお分かりの通り、ハードタイプのインシュレーターは振動を取ると同時に元より振動を付加している。ちなみにAは石英、Bはドライカーボンだ。
さて、フローティングだが難しい。方式により音も違うが何よりパラメーター(f0、接触部位の硬度、減衰速度etc)が沢山あり十把一絡げに出来ない。またどこまでフローティングと呼んで良いのかも厳密にはわからない。振動減衰が最も難しいのだが、振動減衰が少ないと低音の腰が無くなる。多くの場合振動減衰を高めると絶縁能力が減る。するとフローティングのご利益たる低歪みで開放的な音に支障が出る。
大きく分けると
①バネ②磁石③糸吊り④ゲル
ここらだろう
①バネだが、これは昔から山ほど存在した。ただ難しいのだ。まず空気バネは共振周波数は最も低く設定できる。また絶縁能力も高い。しかし減衰が少なく直動振動(自分が振動元)に弱い。
普通の金属バネはサージングが癌です。サージングとは、コイルばね自体の固有振動のことで、バネに質量があるため、バネの固有振動数に近い振動数成分を有する外力が作用すると、サージングと呼ばれるばねの激しい振動現象が現れます。まあこれは不等ピッチのバネを使うとかサージング防止機構を入れればなんとかなる。減衰は空気バネより強い。正直これの設計は強力なシュミレーションしないと無理なのでオーディオメーカーではバネ製品の設計に限界がある。
それとこれはバネに寄った話ではなく磁力物やゲルなどあらゆるフローティングに必要な要素だが耐荷重ギリギリにするべき。何故なら軽いとf0が上がりフローティングの力は下がるからだ。また結果的に音が腰高になる。
金属バネインシュレーターは極義経などからwind bellなど広く存在している。オーディオコンポーネントだといくつかのターンテーブルやoracleのCDPが有名か。基本的にはサージングさえなければシンプルかつ比較的リジッドで安定した手法である。
wind bellはオリジナルの比較的高価なWBシリーズしか試していないがそれなりの絶縁能力かつ比較的リジッドな音。会社はインフラレベルの振動設計をする大企業。シュミレーションや設計、製造のレベルは桁違い。ただ売りの『風鈴効果』が付帯音が気になって仕方がない。風鈴効果とは3.5KHZを起点にいくつかの周波数を共振させ結果的に定位が定まり広がりが出てクッキリする、というがその効果は確かにある。あるのだが付帯音。システムがハイファイになればなるほど嫌になるだろう。なので上下ひっくり返して使った方がいい。風鈴を殺せる。開発者は泣くだろうが仕方ない。
②磁力
これは利点は絶縁能力は高く、f0も低く設定出来、また固有音がかなり付きにくい。ただ原理的に横方向への振動に対して振動減衰力がかなり低い。究極はこれに電磁石を用いてアクティブにフィードバックで制御する方法だ。そういう論文を読んだが果たして製品化されててもめちゃめちゃ高そうだ。
これはリラクサシリーズやneo flex(潰れた)、アコースティックリバイブRMF-1などがある。ただシリンダーの素材や機器の接触面によってかなり左右されるので音の共通点は少ない。
リラクサはダンピングが弱く、低音が腰が弱い。それでも良いと思う製品ですが。アコリバRMF-1は前にも書いたが究極のインシュレーターの一つ。値段が高いがリジッドさとフローティング感を高いレベルで両立しており傑作である。また後述するゲル系の高周波減衰が無いので欠点がない。ただフローティング力はゲルに劣る。お金があればお勧め。真空管アンプへの使用を目論んでいるが高重量につき沢山必要で高い!
“フローティング特集1” への4件のフィードバック
wind bell、
風鈴効果無しの後継のAVCとOSは非常に良いですね。
特にAVCは水平方向の振動の、主にモーター積んでる機材や適応重量内ならラックの足元に使うのに良いですね。
スパイク系の脚ならアンダンテラルゴの、躯体とネジ締結ならAVC。回転物無いならOS型が費用対効果は良し。
締結出来ない場合は、
ココチメタUFOの凹スパイクとOS型組み合わせると、
ツルツルのスピーカー系に丁度良いですね。
(合計するとAVCより高いが)
RMF-1より接触面での運用性が柔軟です。
RMF-1は水平方向の振動は無いので載せ物を選ぶので、
対応するMk2期待ですね。
後継機種、気になってたんですよね
風鈴がとうとう消えた意欲作!
そして良いのですね…貴重なレビューありがとうございます!
あのフローティング部分は良く出来ていますから。安くなりましたし。
アコリバは水平をフローティングしないことが逆説的に低音の強さに結び付いている気がします。裏を返せばフローティング力は弱いので大きく振動する物の上はどうか、ですね。
ティグロンのマグネシア系ラックの脚に使うとなんと、合計許容重量50kgまでの範囲内ならばラックなのに”全段”フロート出来てしまいます。(M8to M6アタッチメントは必要ですが)
50kg以上はスパイク(スルーホールスパイク欲しい)+サイレントマウントが次点。
RMF-1、載せる機材の振動を反射して増幅しているので低音強めに出ているかなーと。
垂直面の程よく機材からの振動逃して、
外乱の振動をキャンセルするのはゲル系、
+水平面を考慮だと推定で中間にボール仕込んでる系かなと。(お高い奴)
振動の無い機材は無いので難しいです。
まさに程度の問題であり振動しない機器などありません。
トランスが入っていれば尚更揺れます。
真の意味で振動を時間軸的にも早く納め、またf0の管理で低音が減らないゲル属は汎用性は低いですが強いですね
さすがハイエンドを席巻しただけあります
ラックごとフローティングは良いですね