フローティングはやはり除振台に絡む論文、研究が大きいです。ですがこれらが考慮してないのはスピーカーです。これだけ揺れる物の、しかも振動板の動きを阻害せず…などという考えの研究ではないからです。
取り敢えず簡単なパラメーターの話をしましょう。
フローティングにはまず大きく分けると振り子とバネの二種類があります。これはかなり複雑で、例えば磁力ですと縦方向はバネ性となり横方向は振り子となります。無論振り子は止まりにくいです。これは無論、振動周波数を持ちます。これがなかなか大切です。
これは振り子型で、Gは重量加速度…つまり一定です。Lは振り子の長さ。つまりは振り子の長さのみに依存します。重さとか全く関係ないのです
対して
これはバネですが、Kはバネ定数…単位はN/mmで、有り体に言えば『ばねの固さ』です。これはかける荷重によっての変形(厚みとか)で変わります。mはまさに重さです。つまり荷重でかなり固有振動は変わるわけです。
魔物αゲルの眷族は基本的にはこのバネ定数で勝負するので荷重に対する調整が不可欠なんですね。しかしこれは広く売り誰が使うかわからんメーカーからすると非常に大変です。だからユーザーの感覚と経験が必要になります。
その上で、固有振動数は低ければ低いほど優秀です。わかりやすいのでαゲルのサイトから拝借。
このグラフは縦軸が1を下回れば振動をアイソレートし、それを越えればむしろ増幅します。この尖った角の部分がいわゆる固有共振による物です。そして、この固有共振はどの物質にもあります。
固有共振が低くなる、グラフでいうと左に行けば行くほど振動アイソレートする周波数が拡大するのみならずアイソレートする量も増えるのです。これが低いほど良い理由の一つ
もう一つが『耳に付かなくなる』ことです。これが金属スパイクとか石英だともっと高い所にあり、また反射もあるので耳につく固有音となります。これが理由2つ目。
しかし上記は『アイソレート』であって『減衰の速さ』ではありません。減衰にはとにかくダンピングが必要です。ダンピングは軟性素材による粘性が大変有効です。これを眷族は思い思いに使ってるわけです。
これは加振機で振動を加えた物ですがこのように大きく差があります
このように『f0によるアイソレート』『自家中毒させぬよう瞬時に収める力』が必要なのです。
なおアクティブを使えば更に速く、また固有振動の上振れすらも収めることが出来ますが音がどうなのか?はまだわかりません。試すには高すぎる。しかも大量の機器がありますからなかなか、ね?
ではどのような仕組みがありうるのか?
1.空気バネ
これも色々種類はあるが(ダイヤフラム型、ベローズ型など)ベローズ型がよろしいと思います。f0が極めて低く、横にも縦にも低いです。欠点は単体だと振動減衰が微妙。ゲルなどと組み合わせる必要がある。
2.スプリング
最大の問題はサージングです。スプリングの共振はあのグラフのように低いf0が1個ではありません。なのでダンパーでサージングを止めますがどうしても減衰力の弱さもあり癖が気になる形式です
このようなサージングをダンパー無しで止める発明もあるようで、気になってます(ダンパーレスバネという名称、まんまだね)
3.防振ゴム
我らがゲルなどが含まれます。αゲルなら工業的に許されるかわからないレベルでゆらゆらにすれば他の方式に準ずる。減衰力は圧倒的。これを殺すならもうアクティブしかない。f0はさておきその減衰力でハイエンドメーカーは使わざるを得ません。空気バネと組み合わせて見たくもあります。除振台ではあるあるですが、更に詰められそう
次回は各メーカーの工夫をお伝えします。