フローティング論1


とうとう此を書く時が来てしまった…

本当はテーマはウェルフロートでした

アクセサリーの魔人の書くウェルフロートボードの記事…書く前から不穏である。

しかしフローティング自体を語らないとウェルフロートの話が出来ないことに書いていて気づきました。結果的に『恐ろしく書く事に労力がかかる』ことになり後悔してます。

ウェルフロート自体も難しいもので、『ウェルフロート最高!』とか『ウェルフロートはゴミ』とか簡単に言いきる者は何れもアクセサリー道としてはまだまだ入り口です。

なお今回は論文や資料の裏取りに一週間はかけた大作です。音○出版の全員を合わせても勝てないからアクセサリーの魔人の異名を頂戴してるわけです。

1.ウェルフロートとは?

ウェルフロートボードは説明不要の知名度であろう。フローティング界で頂点の売り上げを示した近年最大のヒットアクセサリー。

最初期から色々と感じ入る物があり、ボードもインシュも日本最高レベルの数をもっていた筈だ。ボードだけで25枚はもっていた。そのうちオーディオルームに魔獣マメシバを入れない為の柵として使っていたのである。

ウェルフロートとはなんぞや?板バネに取り付けたワイヤーで吊り下げたもので…文章では想像しにくいでしょ?一番わかりやすいのをネットで拾ってきました。感謝!


フローティングとしては特異です。横揺れに振動を変換します。

このような経緯の製品です。

2.フローティングってどうなのさ?

そもそもインシュレーターだのなんだのの意義はなんでしょう?『外界からの振動を貰わないことor外界に与えないこと』『己から出る振動で自家中毒にならぬようにする事』『響きのf特を調える事』この三つです。そして前の二つにおいては広義のフローティングは圧倒的な力を持ちます。というかフローティングしかどうしようもない。最もスピーカーのように激烈に揺れてる物とアンプとでは求められるパラメーターは異なります。詳細は後程。

多くのフローティングは結構なハイエンドの世界ではかなり市民権を得てきています。設計が難しいのでハイエンド世界かつ設計力のある先進のメーカーしか出来ません。余程構造体全体を特殊な造りにしない限り、純粋な金属スパイクのみのリジッドセッティングはもう古代の遺物、妥協の産物です。反射をクリア出来ないし言うほど振動を制御出来てません。てかスパイクの除振台なんてあるのかね?

そして古来よりフローティング族には色々なものがありました。磁力浮遊、バネ、空気…

そして魔界生物アルファゲルの眷属…あ、MagicoやYGやsonus faberやwilsonやCHやTECHDASも手下なんでよろしく

昔はフローティング族は『低音とか密度が減るよね』と言うのが常識でした。ですがアルファゲルとその眷属は当然として最近の良くできたものたちはそんなことは全くありません。何が違うのか?全く物理的なアプローチが違います。感覚の世界から科学に踏み出してます。ゴールドムンドが加振機で始めたアプローチが花開いたわけですな。振動を測定してる機器メーカーがどれだけあるのだろう?ボードやインシュのアクセサリーメーカーなんて半ば宗教的に売るしかないので更に縁が遠い。

フローティングの二大パラメーターはf0の設定の概念と減衰力です(なおスピーカーに必要なパラメーターとその他のコンポーネントは結構違う)これらも更に縦横などの方向性や純粋な振動減衰orインパルス的な衝撃減衰など細分化されますが、取り敢えずはこの二つが共に高いことが理想的です。

外界からのアイソレーションにはf0(どれだけフラフラしてるか)が物を言いますが、自家中毒には減衰力が物を言います。ダンピングが大切です。これらの眷属が何を考えて何をしているのかは次回書きます。

減衰力も方向性があり、例えば磁力型では反発力と荷重を詰めれば縦に対する振動の減衰は良いのですが横に対しては非常によろしくありません。ここを解決するには永久磁石に電磁石でのアクティブフィードバックが必要です。あるいは上下の反発ではなくアイソレーション対象を磁力で吊り下げた吸引型です。

もちろん磁力型も良いものはあります。スピーカーには向いてないかも知れませんが機器や電源には強力な適性があります。少なくとも脳死で行っているリジッドセッティングのような反射はないですからね。設計次第で良くできたものはあります。ただ横に揺れる機器には使わない方が良さそうです

…と事程左様にフローティングは難しいのです。

3.ではウェルフロートはどうなの?

ウェルフロートは型によってかなり減衰力及び『フローティング力』…まあゆらゆら力とも言えますが、色々あるのです。

わかりやすい所でボード系だと初期からあるウェルフロートボードとその後出てきたフルコン(フルグランドコンサートピアノ)仕様ですが、ウェルフロートボードの欠点はまさに『低音と密度』でした。磁力以上の大幅な歪みの低減があり当初は狂喜乱舞でしたが皆も段々そこに気づいていきます。スピーカーには『踏ん張り力』というファクターも必要だからです。これは除振台などに始まる従来の研究、論文でも足りないファクターです。こう言う解析が必要になるようで、どちらかというと建築に近い世界です。

そして登場したフルコン仕様は吊り下げ線を強靭にして、バネなども強固にしたものなのですがゆらゆら感は大幅に減退してます。そして特にスピーカーに使うと踏ん張りが効いて低音がより強靭になり低重心になりハッピーハッピーなのですが、その代わり歪み低減力が大きく減り旨味が減ります。ゆらゆら=歪み低減力と言えます。実際ゼログラムウェルフロートという亜種が一部に出回りました。死ぬほどゆらゆらにした奴です。

ただウェルフロートのアキレス腱は減衰力です。それを手当てしないと自家中毒…つまりはフローティングしている物と天板の良くない振動の癖が載ります。

ウェルフロートもボードの材質やブロック型、リング型、などでそこら辺含めかなり音は変わってきます。ボードタイプはどうしても太鼓振動が乗り癖を感じます。それよりはブロック型やリング型の方が良い。あるいはボードならば極端な話ウェルフロートボード+ゲルの組み合わせも相当有効です。というか振動減衰の問題でゲルがないと完成しないまである?


元々は上記のリンクにあるようにレコードプレーヤーやスピーカーの為の物です。実際スピーカーやレコードプレーヤーに使うと劇的に歪みや癖が減り良くなることがあります。現在サブウーファーやスピーカーに使ってます。または音響プロデュースした美容院のターンテーブル(nottinghamの良い奴)にも使用。

オススメ度はサブウーファー>>ターンテーブル>>>スピーカー>>>他のコンポーネント。既にフローティングされてるとかでなければターンテーブルは試す価値は高いです。

特にサブウーファーにはどんなサブウーファーでも鉄板です。サブウーファーは物凄く色々使ってきましたが悪くなるケースは見当たりません。サーロジックやeclipseでも。リジッドセッティングが良さそうなイメージがあるでしょうが、実は低音は歪みの影響が大きいのです。ターンテーブルはノーマルメカ、サブはフルコンがオススメ。

そしてスピーカーはむしろ当たるケースは稀です。魔界でVOXATIVEに使っているのは『歪みや無駄な振動にウルトラ弱いから超特効』なのです。膨大なスピーカー遍歴の中で他に明らかに有効だったのはB&W系とかですかね。最も合わないのは箱の響きを上手く計算されているスピーカー。B&Wは輸入代理店も使っているだけあり純正に近いわけですが何故良いのか理由はさっぱりわかりません。なお800Dに使っていた時も魔界オーディションで残った響きの良い桧の集成材にリング型を使用した特殊な使い方でした。ボードタイプは良くない可能性が高いです。

このように使いどころさえ良ければハマリますが、何にもかんにも使って良くなるものではないです。

さて次回はより詳細なフローティングの論理と眷属の技術紹介


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