サブウーファー徒然


オーディオの経験値が高い強者ほどサブウーファーが嫌いです。

口々に言うのが『無い方がマシなケースしか無かった』『誰もが低音出し過ぎ』。

そうなってしまう理由は複合要因ですが紐解いて行きましょう。逆にこれを解き明かす事によってセッティングがより高次になる可能性が。


取り敢えず確実に言えるのは『異様な低音になってるケースは大抵f特をフラットにしようとしている』こと。逆にf特をフラットにしようとしているパターンで低音出しすぎになっていないケースは”ゼロ”です。そして『フラットだから正しいんだ!』と大体おっしゃる。

これは散々お書きしてますが『音圧×残響時間』で音のエネルギーというか量を感知しています。しかしf特(音圧)だけで評価するのは片眼で物を見るがごとしです。

そして常識の範囲の部屋のサイズでサブウーファー領域の残響時間を御すのは相当な技が必要です。少なくとも常識の範囲的な吸音壁(背面空気層云々)ではとても不可能です。最大径のチューブトラップが最低ライン。現実はAVAAになるでしょう。

しかし残響時間を測ったところで『それをどうサブウーファーの音量に反映させるか?』ハッキリ言って不可能です。なので耳でやるしかありません。そのアジャストの仕方は次回まとめて。


しかし音量だけではなく音量以前の問題も見受けられます。

それはこれも散々書いてますが『位相』『タイムアラインメント』あたりです。大体…というかほとんど全員合ってないのですがユーザーが悪いというよりメーカーが悪いのです。

まずタイムアラインメントから。サブウーファーは内部のDSPで遅延が起きます。DSPによって遅延のレベルは多少前後するでしょうがその時間…6ms

御宅の標高がわかりませんので(なにっ、マリアナ海溝)音速が秒速330mとして、、1msは33cm、大体2mは遅れると思って良さそうです。なおパワードとかでメインスピーカーにもDSPが入っている場合はまた別です。

実際サブウーファーはものの数cmのずれで音場の整合性はまるで変わります。況んや『部屋の奥に置いてある』ならそれどころではないでしょう。多くの場合サブウーファーにはタイムアラインメントを弄る機能が必要になります。が、それが付いているメーカーはレアです。

次に位相ですが、無段階調整機構はタイムより不可欠です。最近さらに徹底した魔界のサブウーファーセッティングの数値を見ると…『26°』ずらしてあります。何を言いたいのかと言うと『本当に徹底したらそのくらい変な数字になる』ということ。

『0or180しか選択肢がないメーカーはサブウーファーを造る資格はない。』とまで断言しましょう。それは

  • 1.『サブウーファーなんて低音が出れば良いと思ってる』
  • 2.『サブを開発するに足る知識や能力に欠けてる』
  • 3.『サブを使う奴なんて音の聞き分けなんて出来やしないんだ、細かい調整機能なんて豚に真珠、と顧客をバカにしてる』

いずれかに大別されます。

前回特集したPMCのサブウーファーは、非常に古いモデルにもかかわらず当初から無段階のつまみがありました。さすがPMC…というかこの分野はコンシューマー属が酷過ぎる。サーロジックも古くから素晴らしい機能でしたね。

https://www.pmc-speakers.com/products/archive/archive/tle1

今となっては流行りの背面対向型に勝てないけど

無論位相やタイムアラインメントが合ってないと音量をどうしても合わないです。

そして我輩もそうでありましたが『違和感が拭えずやたら小さな音量にしちゃう。』あるあるですね。『無い方がマシ』と気づける認知だとそうならざるを得ないのです。それはもちろん『間違い』です。

次回、改めてサブウーファーセッティングの総集編。


“サブウーファー徒然” への6件のフィードバック

  1. まぁ、ホームの場合は立派なネットワークが着いてますから難しいかなと。
    また、カーオーディオの場合はスピーカーの位置がバラバラの為20年前からDSPを使ったマルチになっておりますよ~。
    ですからヘリックス辺りでは約7度ずつ位相が弄れますがこれがまた纒めるのが大変ですね。😅

  2. いつも勉強させていただいています。ELAC 2070、Arendal 1723 が廃番になってしまったので、残った主オススメであるところのSVS3000をポチろうと思いますが、2070が上下プッシュプルなのに対しSVS3000は左右プッシュプルです。調整方法は変わらないでしょうか?また2個ペアで使う場合、1台あたり2個左右についたユニットの正相側・逆走側はどこに向けて設置すればよいでしょうか?2070はデザインも良いのでなくなってしまって残念です。

    • え、arrendal1723(2S)廃盤なんですか!?
      今サイト見たら買えそうな雰囲気でしたが…なんと
      買う気満々でしたのでショックで倒れそうです
      先週も見ていたのに…
      あれと同等以上の代替のサブウーファーが此の世に無いんですよね、金額に依らず。Magicoもどこもです。
      『対向型』『位相無段階』『タイムアラインメント遅延可能』『35cm×2≒43cm』…なのに$2300

      気を取りなおしてですね、実はセッティングはどの方向に2個ついていても意外に変わりません。eclipse725やaudioproB2.27などの経験からも、なにやら海外の有識者的な情報(こっちのほうが信頼していいかわからない)からも大丈夫です。

      • ご返信ありがとうございます。
        そんなにすごいのですね>arrendal1723
        おっしゃる通り今見返したら確かに買えそうです。別のものを調べていたのかもしれません。
        方向は気にしなくていいんですね!了解しました!

  3. サブウーファーに関する様々な記事やコメントを何度も読み返し、 Arendal 1723(2S) 導入を決めつつあったのですが、いろいろ調べているうちに「位相調節が 10°step」という情報を見かけました(無段階ではない?)

    真偽を確かめようとしたのですが、メーカーサイトや取説には記述が無く、アプリをダウンロードしてみても Arendal
    はデモモードの実装が無く位相設定に辿り着けませんでしたので、先日 Arendal のサポート窓口に問い合わせたところ
    「位相は確かに10°ステップだ。非常に粒度が細かく、多くの会社が0/180、少数の0/30/60/90/120/180を使っているが、10°ステップのものは他に知らない。低周波の波の長さとスピードを考えると、10度以下のステップにする価値はあまりないだろう。現段階では、位相を1度ステップにする予定はない。」との回答でしたので、グルマンさんを引用させていただいて「ELAC や SVS 等は既に 1°step の調節が出来ているし、実際に位相を26°に設定することが最適となる環境もあった」と返したところ、「それは知らなかった、設計者に伝える」とのことでした。

    (将来 update の可能性はあるものの)
    現時点で 1723(2S) の位相調節は 10°step ですが、使いこなしで何とかなる範囲でしょうか?
    それとも寧ろ 1°step の ELAC 2070 等の方が良かったりしますか?
    ちなみに 2070 は直販サイトでは在庫切れになっていたので、新しい DS1200 等も調べてみましたが、2つのユニットが正対していない台形キャビネットなんですね。キャビネット内の定在波を嫌ったのかも知れませんが、振動面は大丈夫なんでしょうか?

    三者三様、ウーファー面積の違いも含めちょっと決め兼ねており、ご見解とアドバイスをいただけると幸いです。

    • 10度なら余程運が悪くない限りほとんど問題はないとは思います
      というのも、10度で調整可能ならば五度以内の問題になります。
      例えばタイムアラインメントや定在波などの点でベストな位置を置けたとして4度違うとして、その差が明らかになるシステムは余程特殊です。
      なので大丈夫かな、と。
      DSシリーズは決しておすすめ出来ません。
      買えるならARENDALL一択ですね

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です