クロック回りの論理的にお勧めな小物


クロックトークしたのでクロック(基本的には10MHz)の話を続けます

と言ってもクロックその物ではなくアクセサリーですね。ただ怪しげなオーディオ的なアクセサリーではなく完全な論理の世界です。

10MHz程度の高周波になると音声帯域とはまるで違う振る舞いを見せます。裏を返せば音声帯域全体(20~20000Hzを包括して)を通すケーブルなどの振る舞いは周波数の高さもさることながら10オクターブにも及び周波ともまるで違うので逆に高周波畑の技術者の作るスピーカーケーブルなどは(測定上も)極めて微妙だったりします。

さて、高周波の世界は反射の世界です。音声帯域では(あまり)反射は問題となりません。本当はなるんですけど、全く致命的にはなりません。

反射によりオーバーシュートやアンダーシュート、リンギングなどが起きて全く波形が原型を留めなくなりますな

オーディオ的に良かれと思って何かやらかすと良いことは無いので、オーディオケーブルメーカーどももほとんど手を出しません。音質的にもサイバーシャフトの青いセミリジッドケーブルで掛け値無しに百点です。なお旧型の銀色の奴は共振の音が載り音が悪い。どうも青い被服で振動を大変上手く抑えているようですな。まあサイバーシャフトの中の人が被服被せたわけではないですが。何故か真理を追究すると例外は有れど特にアクセサリー物は理想の製品の値段が安くなっていく…

で、impedanceがありますな。50と75Ω。この10MHzクロックの分野は基本的には50Ωのお約束なのですが、部品の使いまわしで75Ωでやる不届き物が一定数おり、混交する自体になってます。なのでimpedance変換したいとき、ありますよね?

あるいは分配したいときもあるはずです。10MHzクロック入力が可能な機器が複数あるとして、わざわざ複数クロック買うのは勿体ないことです。

そしてそれらもまた反射するわけですな。そして出来るだけ反射が少ない物を選ぶほうが音に悪くない。

さらにクロックには矩形波クロックと正弦波クロックがあります。ハッキリいって優劣などはありません。散々聴いたからわかります。(例えばサイバーシャフトは正弦波、MUTECやantelopeは矩形波)

強いて言うならなんとなく矩形波クロックはミュージカリティーがあり、正弦波クロックはhigh fidelityな方向に思います。上記メーカーの音からすると、ですが。

矩形波はまさにゴキゴキに急峻な反射な波形なので減衰や反射がなどに弱く、ケーブルやその長さ、変換コネクターや分配器などの影響を強く受けます。正弦波はそこは緩いのですがノイズの影響を強く受けます。語ると複雑なので今回は捨て置きますが(今度10MHzフィルター届いた時のレビューに触れざるを得ない)、まあ双方ともに弱点があり、使いこなしのミソが違います。

さて、反射が少ない物を選ぶべきなのですがこれはカタログスペックに書いてあるので簡単にわかります。VSWRと言いますな。電圧定在波比。理想は1.00000…です。

ではまずimpedance整合器(≒変換、使用上は)ですがこれはまあサイバーシャフトの2200円で良いです。VSWR1.03とかなり優秀。

安いしすぐ来るしこれで良いじゃんね。…え、究極の奴が欲しい?イヤしんぼめ!!

mini circuitというメーカーがありまして。ここの製品の特性はすさまじく、日本メーカーとは比較になりません。VSWR…1.00。『究極』『完全』と言って差し支えないのでは?

UNMP-5075-33+とかですかね、勿論50→75Ωと75Ω→50Ωで型番違うのでお気をつけください。

次に分配。これは1.00は不可能です。何故ならインピーダンス整合は抵抗で済むのですが、分配はトランスを使うことになり完全な反社のコントロールは不可能です。

サイバーシャフトの物で入力1.1、出力1.2。これも相当良いんですよ。国内の物を探しても全てこれ以下なので素晴らしい。

これも究極を…?本当にチミはイヤしんぼだな。

ZFSC 50Ω 2-1W+という物ですね。入力1.08出力1.16。我輩はこれを使ってます。両方持ってますが。


“クロック回りの論理的にお勧めな小物” への10件のフィードバック

  1. グルマンさん、こんばんは。

    SOULNOTE X-3にサイバーシャフトの青いセミリジッドケーブルは純正のRCC-1よりも良い可能性はありますでしょうか?
    そも、X-3はクロックとして優れていますでしょうか?

    クロックとは関係ありませんが、DAVEとM Scaler間のBNCケーブルにサイバーシャフト75Ωセミリジットケーブルを使用した場合、他オーディオグレードのBNCケーブルよりも音質が良くなりますでしょうか?

    いつも質問ばかりで申し訳ありませんが、ご教授いただけますと幸いです。

    • まず高周波に使えるケーブルは基本的には『規格がある既製品』で、特別な造りはそうそう出来ないのです。
      1.基本的には銀メッキ
      2.太さは色々可能(細いほうが高周波の減衰には有利だが所詮は10MHzなのであまり細かい事は関係ない)
      3.誘電率が物を言うのでフッ素樹脂、もしくは空気絶縁(激レア)
      4.シールド(事実上セミリジッドがベスト)
      5.端子(これはSMAがBNCより良い、がGHz以上の世界であり10MHz程度では差は全く無い)

      サイバーシャフトは1~4は完全に満たしています(絶縁体はPTFE)
      5位でしょうか…
      あとクロックケーブルも硬くて太いほど音は悪いです。振動の癖が露骨に載ります。高価なアベンドートの50Ωとかは細身のSAEC(かなり優秀だが高周波ケーブルはオーディオメーカーごときが触れる代物ではないので上述の通りOEMの規格品) やサイバーシャフトには遠く及びませんでした。
      RCC-1を選択する理由は無さそうです。

      そしてクロックですが、これは圧倒的にサイバーシャフトでしょう。まずスペック(原価率)がちょっと悪すぎます。
      筐体設計の理念はソウルノートは正しいと思います。が、振動はまあユーザーが何とでも出来ることと(ゲルなりなんなり)電源が幾らでも外付けのほうが良くできること、それと実はソウルノートのクロックは試聴しましたが音は太くなる貴重なクロックではあるものの、本来の強力なクロックで得られるフォーカス、位相、その結果の広い音場と速度がスポイルされるのでセッティングなどが詰められ、システムの完成度が高ければ高いほどあまりお勧めは出来ません。

      • ご返信ありがとうございます。

        私は黒色の機器しか導入出来ない呪いと縛りがあるためサイバーシャフトは除外し、納期未定のMUTECを諦め、ノーチャンスのX-3を使用していました。
        RCC-1はなんか厭wという理由でサイバーシャフトの青ケーブルにしていたのだけは僥倖でしたが。

        セッティング等々詰めなければいけないことは多々あるのですが、どうもいまいち音場広くならないなぁ?と思っていたので、やはりグルマンさんにお聞きして正解でした。
        いずれサイバーシャフトを導入したいと思います。

    • グルマンさん いつも興味深く拝読させていただいてます。ありがとう御座います。クロックのお勧め機種を知りたいです。
      MUTEC 10MHzリファレンスクロック・ジェネレーター REF10 SE120 や サイバーシャフトは如何でしょうか?

      • 10MHzに関してはMUTECとサイバーシャフトの二択でしょうね、他はノーチャンスです
        さて基本的には音質傾向がありまして、MUTEC SE120は高い精度の中に若干の高い温度感と厚みがあります。そして普通に使うと傾向がシステムに合う合わないはさておき絶対的能力としては(色々な所で色々比較させて貰ったり魔界での経験の限りでは)OP18位なのではないかと思います

        サイバーシャフトは温度感等の変化は上位になればなるほどありません。下位で内蔵電源の物などはなんと言うか硬さがありクールに感じます。
        システムをシビアに詰めて根元的に位相や速度が極まれば極まるほどサイバーシャフトが有利になります。それと外部電源なので間にLT3045基板を足すとかが容易で伸び代が大きいです。裏を返せばセッティングなどが微妙な場合サイバーシャフトはMUTECの温度感に比べて良さを見出だせなくなりそうです。また電源など周囲の環境に弱いのが正弦波のサイバーシャフトなのでかなりそのシステムのありようで触れ幅が大きいです
        求道者ならばサイバーシャフト、緩く行くならMUTECですか…

          • 良いと思います、方々で聴いております。がコスパはサイバーシャフトに比べれば良くないです。というよりサイバーシャフトが異常で比較するのがかわいそう
            コスパ度外視にして頂上決戦ではさすがに昔売ってた500万の物は強いですが

  2. 確かにOCXOのスペックだとサイバーシャフトのコスパは凄いですね。
    ただSFORZATOのほうは筐体や電源といったオーディオメーカーらしいしっかりとした造りがメリットかなと。
    ご返答ありがとうございます。参考にします。

    • その筐体なのですがsforzatoはDST-01を最後に(最初の製品ですが)劇的にコストダウンしており凡百の箱になり最早利点は無いんですよね…DST-01は今オーディオボードとして使用してます
      かつサイバーシャフトの電源が結構良く出来ていて、クロック内部に3045、電源内部に3045が入ってますが、間にさらに3045基板つけるとちょっと他にどうやっても(500Wクラスのトランス+LT3045であっても)優位性は得られませんでした。
      サイバーシャフトの回し者みたいな内容でアレなのですが、ちょっと他のメーカーでは現状難しいですね
      HSO-14を搭載する勇者が出てくれると面白いのですが…

      • ディスコンしましたが筐体はDSP-01とPMC-01 BVAも凄かったかと。
        HSO-14搭載クロックをSFORZATOは開発してましたが、製品化は見送ったようですね。

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