アースワイヤーはオーディオの心臓部のひとつだ。DAC位には心臓部。と、僅かに頒布した究極のアースワイヤーで思った。『此の世で一番凄いDACあげるからこのワイヤー無しでオーディオやってください』とビル・ゲイツかイーロン・マスクに言われたとして…だが断る。
それはこのワイヤーは『音を良くする』という欲望ではなく『アースワイヤーで物凄く位相のモジュレーション起きてた…』という所をゴッソリ改善するものだ。深刻なマイナスをゼロに戻す仕事である。
他のケーブルはどんな高額品でも『キャラクターというかパラメーターの振り分け(いわゆるステ振り)に過ぎなかったなあ』と思う。
なんというか『NBAに知性型巨人が!』位なイメージである。
そんな異様な能力を持つワイヤーこそ皆様に使って頂きたい。オーディオファイルもエンジニアも。わーくにの音楽前線を大幅に押し上げ世界に大勝利して頂きたい。
…のだがもう無いのである。理想論は『今ある物で生産する』ことだ。実際、今高純度のシェラックオイル…真のエナメルを取り寄せている。が、試作にまだまだ時間がかかるしどの程度の物が出来るかわからない。
なのでニアリーな物を色々試して、良ければご紹介しようかなと思いこの企画を建てた。
真ん中が『絶対王者』である。今回弑するべき対象だ。0.2mm。
上がほぼ同年代…1960年頃の旧ソ連製ワイヤー。0.35mm。恐らく同じ工場で造られたもの。明らかに太い…経験的にこのくらいの太さになると『単線臭い固有音』が載るが、『絶対王者』の血族である。刃牙に対するジャック範馬…って不安になること言わないで下さいよ。
下が頒布したやはり1960年頃の旧ソ連の絹巻きのワイヤーの中身。頑張って絹を剥ぎました。実は剥いで聴いたことはないのだ。剥がない状態だと、王者に叶わぬまでも素晴らしい能力だ。位相など申し分ない。知性型巨人ではあるのだ。ただ、絹の音が載りクールだ。冷たいという意味でクール。蒼いシルクのドレスを来たロシア帝国の貴婦人である。しかしワイヤーはキャラクターが見える時点で赦されない。中庸か死か、なのだ。
さてさて、試聴です。頑張ってくれよ…頼んだぞ…
ではジャック範馬0.35mm。
お、悪くない。さすが絶対王者の血族!音色、温度感も中庸でエネルギーもあり位相もバッチリ。…だが惜しい。まずやはり極僅かに単線の癖が載る。僅かだけど。そしてその振動の癖が載ると言うことは音数も減るのだ。マスクされちゃうからね。
それでも凄いですが。他のワイヤーは一蹴するでしょう。真エナメルワイヤーが上手く行かなかったら頒布するかも?
次、剥かれた貴婦人。
おお、すっげえ音がする!
とてつもない量のアンビエントが振り撒かれる…御想像の3倍は振り撒かれてる。これは…ダイナやTIASで聴く感じのMartenの音です。たまげたなあ。
太さの問題というより全く違う種族。導体の工場…もしかすると鉱山レベルで違う可能性が高い。
オケだとまだしも、ちょっとトゥーマッチかな…元々そこら辺のバランスは図っているので。バランスが取れている所に使うとウルトラハイが多いのでハイバランスになるし、何より『壁の反響や空間、聴衆の位置関係』などが曖昧になる。
とは言え『元が振動など包括的に残響のf特を詰めてある』からトゥーマッチなのであって、決してこれがダメなわけではなさそう。システムの状態次第では火を噴く可能性もある。下手に振動系で増やすよりフラットな分、割れ鍋に綴じ蓋の戦いを繰り広げなくて済みそう。
元々のクールさは微塵も残ってない。温度感など諸々ニュートラルだし、固有音は感じられない。固有音とはPEQに例えると『Qを持った何か』であり、これと絶対王者の関係は『ultra highをshelvingしたような感じ』である。
剥かれてない貴婦人も1ヵ所程度だとクールさは見えないが、使う箇所が増えると気になってくる。『何よ、澄ましちゃって!気に食わないわね、あの女!キィィィ』とか感じたら、思いきって剥いでみて下さい。