凄く昔(日本だけです)JAZZ専、クラシック専、その他でオーディオファイルは別れていた感じがあります。なおロックは下等劣性音楽として見られていた模様。
ステサンだと十年ちょっと前でも『三浦君はロックを聴く人だからねぇ()』とか普通に書いてあって面白い。そう、ステサンはとても面白かったのだ。今は悪い意味で面白くない。
今はそんな棲み分けや対立、分断はありません。そもそも『JAZZしか聴かねえ!』『クラシックしか聴かねえ!』っていう超排他的な人がほぼ絶滅したのもありますが。
ステサン古参勢の中のロック聴く人のイメージは概ねこう言う感じ。とっても反社会的。
そもそもクラシックとJAZZの音響再生的な視点での境はなんなのか?だって管楽器もコントラバスもピアノもあるでしょう?
答えは2つの要素に集約される
1.クラシックというかオーケストラ録音という物が条件が別物
2.ドラムの近距離録音という難物
これです。
今回は1の話を。
1.は奥が深いです。オーケストラ録音というまるで他の分野と条件が違う話が立ち塞がります。普遍的なオーケストラ再生って論理的には非常に深い意味で無理ゲーなんです。
まずそもそもオーケストラという存在がデジタル再生として無理ゲーです
これ見ると『オケで16bitは人権ない』と言われても仕方ない。なので他のジャンルとはまるで違う不断の努力と追求が必要です。無理を叶えるのですから。
もう一つの理由
さて唐突に問題を出します。
『見事なオケ再生には少し過剰な、或いは収束が遅めの低音が必要なのはオケ野郎どもには自明です。では何故でしょう?』
オケに足繁く通うオーディオファイルは数多く見てきましたがこう言う理屈に足を踏み入れたオーディオファイルはほとんど居ません。
それには『再生音量ってどう考えてます?』という話から。
これは良くあるフレッチャーマンソン曲線、とか等ラウドネス曲線、とかいう奴です。
ようは『音量で耳のf特が変わる』というお話です。音が小さいと低音と高音が聴こえなくなります。
オケによらず『その創造主たるエンジニアがどのような音量を想定しているか』を察するのがオーディオファイルの有るべき姿のひとつです。先のステサンの盟主 菅野沖彦氏は御宅訪問で此処を物凄く気にされていた。『お前の音量設定の程を見せてみろ』みたいな。何しろ自分で録音したものをかけてるんだから。嫌ですねえ。
さて、普通の音源はエンジニア様が世間の良識を想定してある枠内で音量を考えております。オケでもドラムでもほとんどはコンプやローカットをかけてます。それは無論機器の保護もありますし、一般家庭での再生音量の兼ね合いもありますし、そもそもCDではダイナミックレンジが96dBまでしか取れないし、オケは暗騒音取りたいし…などなど。
逆にオーディオファイル専用の超エキセントリックなキ○ゲェ向け音源は無論ノーノーの完全な素通りです。機械をひとつも通さない。ステサンやステレオ誌にはとてつもなく音量をあげることが前提の素通しドラム音源があります。当然192/24とか384/32とかDSD1024とかです。ダイナミックマイクなんてものも使いません。妥協の産物ダイナミックマイク(言い方)。結果とてつもなく音量を上げないと生そのものの音にはなりません。
これのパーカッションソロとかね
https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/4571177051035
ステレオ誌の究極の音源の一つ。音楽性は全く無いがその録音は凄まじい。が故にそのシステムの善し悪しを恐ろしく見せてくる。『オーディオは好みではなく正しいかどうか』がわかる。このドラムソロがつまらない音(音楽としては…)と感じたら音量が全く足りてない可能性が高い。生のドラムと等音量にせねばならない。それでもドラムの音とかけ離れているならそのシステムのトランジェントが全く足りてない。
https://www.e-onkyo.com/sp/album/sthr1602/
ではオーケストラは?その音量たるやドラムどころの騒ぎではない。130dB位のダイナミックレンジが必要ですの。
素通しワンポイントマイク録音が有ったとして、その音量を御宅で再生してよろしいですか?(そもそもスピーカーが持たない)となる。まあ等音量とまでは言わないまでも相当な大音量と、それに耐えうるルームチューニング(防音では無くてよ?)が必要になる。
そしてそんな環境や機器はオーディオファイルでも少ない。かつ大音量に耐えられるユニットはリニアリティに欠ける、今度は耐入力増やす為にユニット沢山用意すると音場とかが死ぬというオーディオはトレードオフが避けられないのだ。
結局クラシックでもこうなる。
無論マイク位置もある(吊り下げでは聴者席とはまるでバランスは違う筈)。ホールの超低周波もある(マイクで取れない)これ等や等ラウドネスの影響が相まる。
で、特に古き良き録音(つまりあまり弄ってない録音)ほど…というかオーディオファイルが喜ぶオケは等ラウドネスの影響をモロに受ける結果『現物に比べて低音が少ない』となる。つまり『音源次第で程度は変わるが少なくとも低音を盛らないと元のバランスにはならない』わけですな。
であればこそ『オケ専』というものが発生するわけです。特にマルチでのオケ専のバランスは相当逸脱してて上述のキ○ゲェリファレンス音源やあるいは打ち込みをかけると『ドン』が『ボォォォォーーン』『ブョォォォォォ』となったりします。でもオケかけるとリアル。
やっぱりオケは難しいですね
“JAZZ専クラ専という死語1~オケ再生編~” への4件のフィードバック
ラウドネス曲線
実に重要ですね。
拙宅は平均音量が90dB以上で最適化されていますので、それよりも10dB以上低いと、レンジは狭い、周波数特性の凸凹が目立つ、などネガばかりが際立ちます(汗)
やはり大型システムを小音量で聴くとそれはそれは悲惨なことに…
この辺り、オフ会の際にも気を付けなければならないと思った次第。
同時に、(普段小音量で聴かないので)小音量での余りのバランスの悪さにも再認識したのでした。
その他、音量によるf特については個人差もあるのではないかと思っております。
なお、魔界に伺った時にはお伝えしておりませんでしたが、魔界の音は、音量に特性が余り依存しない不思議なセッティングであったことを申し添えます。
オケの再生は…
当方は最前列特化型であります。
精進あるのみです。
いやぁ…さすがもさすが
部屋含めて恐ろしい経験値です
素晴らしい耳のエンジニアや神の耳のオーディオファイルでも此処に気付いた方は居ませんでした
低音や高音のバランスは一般的音量でも取れるようにしておりますが、どのような音源でも飽和しないようにするために全帯域を一様に刈り取っております
実は残響時間は大変短いのです
しかし超低音も含めて残響を均等に刈り取っている結果(これはAVAAやダブルサブウーファーなど超近代兵器がないと出来ません。)デッドに感じれないのです
指摘されていたように『会話が変容しない』のはその為です
無響室は残響が短いからおかしいのではなく『低音だけが残り異様なバランス』だからおかしいのですね
ですから『部屋の大きさと音が一致しない』わけです
低音だけが残り異様なバランス
→要は、立ち上がり立ち下がりが正確に鳴らすのが重要ですね。👍
いやぁ、また汗が噴き出るような返信をいただいておりました…
私自身は、大した耳ではございませんが
魔界に一歩足を踏み入れた途端に、会話している時の声がそれまでと一気に変わり、自然というか正確になったのは驚きでありました。
壁などがあるわけでは無いのに、結界が貼られているように錯覚した位であります。
低音、高音、音量によらずf特のバランスが取れているのは、非常に不思議でしたが、それには秘密があったのですね。
いずれにせよ、私が感じたことを言語化して整理いただき腑に落ちました。
また、取っ散らかっていた知識が一気に体系づけられて理解できています。
その意味でも非常に得難い経験でありました。
ありがとうございました。