真空管自体の完璧な評価は難しい
何故なら当たり外れ以上に『ヴィンテージ管は在庫が消えてしまい取り返しつかなくなる』から…一応インフルエンサーの部類のようで(ありがたいことです)、お勧めしたものは全て在庫が消滅している。そんなことになれば我輩は民度の低い真空管マニアどもにSATSUGAIされてしまうだろう
しかし『あまりよろしくない物』と『善し悪しの音の判断』はするべきかな、と思った。
取り敢えず12ax7あたりの割合良く見る真空管のお話。12ax7は増幅率が高く小さく増幅段では良く見る。
だがまずこの管が真空管世界でも『直進性はともかく在りし日の真空管全盛期であっても寿命の信頼性は低い微妙な管』ことを上げなければならない。やはりミニチュア管にするというのが色々と厳しかったのでは?
1940年代にRCAによって造られ、大いに流行り大企業が造るに到り航空機関係にも良く使われたようだが1950年代にこのような発表があった
『1000時間超えて使える歩留まり60%しかねえ、てか1000時間毎に60%』by GE.
やーばいでしょコレ。
とはいえ件の1950年代GE、寿命は知らんが音は悪くない。
12ax7は難しいのだ。
では新しいのはどうか?
ecc803s(12ax7の高信頼管)を詠っているロング管の現行生産品だ。
この灰色の部分(プレート)が長いほうがSNなど基礎性能は高いが、振動に弱くマイクロフォニックの影響を受けやすい、とか色々言われている。時代的には長い→短いとなっているようだが理由は我輩は知らない。
『GEよりSNが10dbから20db良い』というtelefunkenも長いプレートだ。
で音だが確かにSNは高い…と聴感的には思う。トップランク。しかしなんか一本調子な所がある。付帯音。この真空管は細かな板金の芸術だが内部を視てると(ここ共振しそうだよなあ)という構造をしている。真空管全盛期の工法とは見るからに異なる部分が見てとれるが、このJJ 12ax7に依らず割と有りがちな傾向だ。
勿論ロングプレートでなくても素晴らしいものはあるし、ロングプレートならば良いというわけではないことがこれでわかる。
『好みの音を選べば良い』というのはお勧めしない。それは大きな回り道と無駄に繋がる。何事も『収束する結果』のような…正解や真理のような物がある。登る道は違えど最後には同じような判断をするようになってくる。
ではどう真空管の音を判断をするべきか?音楽表現からではなく聴感的なオーディオ的基礎能力で真空管は選ぶべきだ。『クリアネス』『SN』『フラットネス』『付帯音(Q)のなさ』『Fレンジ』『Dレンジ』『ハイスピード』などなど。
その後で音楽性は着いてくる。脚色という逃げ口上の音楽性ではなくhigh fidelityから登る音楽性である。
真空管の選択基準は決して『ノスタルジア』『太い』『渋い』などで選ぶべきではなく、真空管はそも現代的で普遍的でhigh fidelity(録音時、生に近いという意味合いで) な音を出すための強力無比な道具である、と思うんですがね。どうでがしょう?