前回死ぬ程サウンドパーツを持ち上げたがプリアンプとなるとまた話が違ってくる
そもそも真空管にしろ石にしろプリアンプとは難しいもので、幾つかの条件を満たさない限りトランスアッテネーターや凄いアッテネーターにはなかなか勝てない
例えば『部屋がめちゃ広くてしかも遠目で聴いており直接音より反響音が多い』とか
そして『良くしようとする行為が割りと裏目に出る』とかも多い。さらには『箱のコンストラクションが音に酷く影響する』のに『アルミ削り出しだからいいわけでもない』とか。『理詰めではなくほとんど耳。あと偶然の産物』というものであり特性はまーーったく影響しない。
そして真空管プリアンプだが、真空管プリアンプは色々聴いてきたが現在使用中なのはまさなの上杉。280という型番であり藤原氏が引き継いでからの製品である。
中身を見て口が裂けても『良い音しそう』とは思えないのだ笑
恐ろしく凡庸な中身なのに何でなのだろう。是非ともお話をお訊きしたい。
だがこのプリアンプを導入してからというもの、大変ニュートラルな音楽性と全く低くない基礎性能を持つがゆえに『真空管の音ですね』と言った人間は居ない。サウンドパーツのパワーアンプとベストマッチングであり音の性質ならびに位が同格なのは上杉という不思議な話である。
対してサウンドパーツのプリは基礎性能が上杉に及ばない。正確には『魔界という重箱の隅のホコリを指で掬って食す』ような環境では性能低下が耐えられない。
プリもパワーも得意なアンプビルダーは古来稀である。『パワー屋さん』とか『プリ屋さん』みたいに別れるものだ。『ピッチングもバッティングも得意なメジャーリーガー』って居ないもんね。
PASS/KRELL/FM/アキュ…てか大体みんなパワー屋さんだ。パワー屋さんは多い
ダゴスティーノ(KRELL)は個人的には過度に暖かなプリも好きだがまあパワー屋さんであろう。FMのフーバーはやや二刀流に近いがやはりパワー屋さん。パワーは何処でも力を発揮するがプリは嫌いな人は少なくない。熱狂的なファンがいるということは万人には好かれない事の裏返し。
プリ屋は少ない。レヴィンソン(トムコランジェロ)/marant/カウンターポイント/デミアンマーチンあたりか(ジョンカールは万人受けしないと思う)
そしてサウンドパーツはパワー屋さんであり、上杉はプリ屋さん。プリ屋さんは貴重なのだ。
最高に良くできたプリアンプは『性能を下げず』『何も付加せず』『速く立ち上がり立ち下がり』『さしてダイナミックにもならず』『まとまりだけ上がり』『音楽だけ聴こえる』という物だろうか。
プリアンプ設計者は傍らに良くできたTVC(トランスボリュームコントローラ)を置くといい。これに勝てぬようではそのプリアンプに価値はない。お金があればBespoke。
あたかもマルチに対するフルレンジやLS3/5Aのような『物差し』であろう。
上杉のプリ、ホントに良いですよ
“プリ屋さんとパワー屋さん” への9件のフィードバック
プリ屋とパワー屋というのは、非常に納得のいく話です。
サウンドパーツのプリは、優秀ですが突き抜けてはいない感じです。
(私のものは特注なので、通常版と多少異なりますが)
上杉のプリは随分前に借りて聴いたことがあります。
穏やかでナチュラルだった印象。
当時は、もっとパワー感が欲しかったので、食指は動きませんでしたけど…
あと、プリについては、Concert Fidelity。
導入時に、Goldmund,CH,FMなどと比較試聴して決定。パワーアンプも良質ですが、プリやDACの方が得意のように感じます。
そういう意味では、プリ屋さんなのかも知れません。
ジョンカールのモデルも好きです。
上杉は上杉氏ご本人がやられている時は物凄く大人しく、エネルギーと色彩感は乏しかったのですが藤原氏に設計が変わってから恐ろしく変貌しております
コンサートフィデリティはプリが得意ですか、やはり素晴らしいメーカーです。日本人は何故か全然知らないのですが
ジョンカールはエネルギーが凄いですね
プリが得意なメーカー パワーが得意なメーカー 納得します。
両方得意ってあまり無いイメージです。
上杉の藤原氏280は凄いんですね〜勉強になります。仰る通り見た目は全然凄くないです。サウンドパーツの方が見た目よっぽど凄いです。
使用してはいないんですがパラピッチーニEAR912は如何でしょう?
上杉のイメージ的には『色彩感や鮮度に欠け、音数等も少ないが嫌な音を出さない』というイメージでした
それがとんでもない!
912より遥かに基礎性能が高いです。
912は音数がかなり損なわれるのと、ちょっとニュートラルではないですね
グルマンさん こんばんは
U BROS-280はU BROS-280Rになり電源トランスも左右別個,その他色々で更に良くなったと言うネットの記事を読みました。
そうなんですよ、論理的には電源が強くなり低音が強くなったはず。しかしバランスがどうなるかちょっと不安で難しいですね。良いことやると悪くなるのがプリアンプでして
リプありがとうございます。
新生上杉はきちんと聞いていないので、聴き込んでみます!
Concert Fidelityは、石のアンプですが、電源部が整流管で、更には球バッファと半導体出力が選択でき、オーナーの好みに合わせられるのも気に入っています。
ジョンカールの様な音作りの製品は、今後出てこない気がするんですよね…
一定の需要はあると思うのですが。
もし近代的なシステムにするなら間違いなく選びますね。近代的とは言わないまでもQuadとかは実は球は合いません。(マーチンローガンは不明)
そしてそういうスピーカー(箱がないの)が大好きです。
ジョンカール系はズバリ日本では売れないです
何故なら部屋が広くないとボリューム的にあの手のプリアンプは美味しくない。躍動感を活かせる部屋は多くないでしょう。(FMも大きくわけると同傾向ですがもっと現代的寄りな気がします)
とは言えダイナミクスが現代的オーディオからは失われ勝ちなので一つのソリューションな気がしますね
ダイナミクスといえば全然話が変わりますがニアフィールドなので同軸かフルレンジがいい、なので後面開放の604Eが欲しくなる病に時折かかります
Quadが合わないというのは納得です。
そして、MartinLoganは所有していましたが、これも球とはちょっと合わない感じ。(かすかな記憶)
私も何だかんだで、箱が無いSPが好みで、イイなと思ったSPは、実は背面にもユニットが付いていたり、というのは良くあります。
ジョンカール系
確かに部屋のヴォリュームという意味で納得です。
そういえば、FMを使っていた時は、6畳の狭い部屋で完全に失敗しました。
Burmesterの方が鳴りやすかった気が…
今は17.5畳なので、かなり条件は良くなりましたが、今のTHIELには狭い…
ダイナミクス。
現代オーディオから失われがちですね。これは、90年代初頭に、音場型SPが台頭してきた時に感じ、現在まで続いているように思います。
自分は、ある種のアンチテーゼとして機器を選んできたような気がします。
後面解放の604E、なるほどです。