ヴィンテージ線と現代線の違い


先に書いておきますが『ヴィンテージ線は音が良い』なんて幻想である。そんなロマンはない。

しかし何故ここまで頑張ってヴィンテージ線を漁るのか?(今80本耐久試聴レース中)

2~3%くらい凄い物があるからである。

これらは全て綿二重巻きだけどほとんど見分けつかないですな

では一般的な現代の線では駄目なのか?単線で(表皮効果を勘案して複数本使うにせよ)ストレートに使って癖が出ず一本調子にならない線はない。例えて言うなら刺身で旨い導体とも言える。

ではその理由はなんだろう?

1.絶縁体のありよう

これは小さくはない。絶縁体が音を規定する理由は経験的には影響力的に上から

  • 振動
  • 静電気
  • 誘電率

がある。

振動はとにかく圧倒的に大きく、フッ素樹脂(テフロンとか)が音は飛び抜けて良いわけではない。ケーブルはバランスが全てであり、振動的にもバランスが取れてなくはいけない。逆に柔らかく振動を殺すに有利なPVCで強いケーブルは幾らでもある。むしろ打率はPVCは高いまである。

論理的に高周波ならフッ素樹脂は強いが精々100kHz程度のSPDIF等なら全然そんなことはない。それよりは円筒形導体など表皮効果を気にするほうが論理的にも音的にも遥かに影響力は大きい。

ヴィンテージも綿の糸を二重に巻いてあるものが圧倒的に平均点が高いが、それも巻きの強さである程度は音の傾向が予想できてしまう。緩いと響きは当然多い

静電気はこれも大きい。マイナス側に振りきれているテフロンは最悪。最良は紙、綿、麻である。絹はそれよりは帯電しやすい。絹は絹とわかる音がする時点で癖がある。

誘電率はそれらより遥かに影響力は小さく感じる。かつ容量は絶縁体の厚さのみならずケーブル全体の…介在やジャケットが影響をする。だから半導電層を使うと音の癖は半端ではない(特性も悪くなる)

上記3点、いずれも綿は強い。投走打…大谷翔平のような怪物である。

なおふんわりと綿ジャケットを被せたものは振動を止められずゴミ同然である。まるでエンゼルスのように。


絶縁体以外のファクターは当然銅、でしょうなあ。

ほとんどは乾式精錬という方法である。銅はまず鉱山で採る。その後に溶鉱炉でどろどろにする。そして不純物の塊である『スラグ』と言うものを除去し、更に酸素を吹き込みつつ溶かして不純物をさらに分離すると99%程度の銅が出来る。

ここまでがヴィンテージ線だ。

ここからブタンガスを吹き込み還元して酸素を除き、硫酸で溶かし電気分解して99.9~99.99の銅が出来る。電気銅という名前を99.9、無酸素銅という名前を99.99%と規定されている。

要はヴィンテージ線は不純物が多いのだ。それが良いのか悪いのか?わからないが『良いことも珠にある』から数%のヴィンテージ線は音が特別に良いのだろう。それは産地やロットで変わりそうだ。

逆に現代的な精錬の6Nとかになると産地とか割りとどうでも良さそう。無論音は産地とかで変わるだろうがその差はヴィンテージ線間の差に比べれば圧倒的に少ないだろう。現代においてはそれよりは振動に影響する銅の結晶構造などのほうが影響力は遥かに大きい。

さらにはヴィンテージ線の不純物や半田の構成成分だって電気抵抗は全く関係なく、その不純物による振動だろう。(高周波ならともかくオーディオをやり込んだならば抵抗で考える人間は居ないはず。)

単結晶であるpcoccの音が癖が強くよろしくないので(キンキンしちょる)アニール処理をしてpcocc-Aにしたわけで、単結晶だから良いわけでもない。ちなみにpcoccは6N相当以上であり、精度より結晶構造より振動の影響が大きい端的な証左であろう。

というわけで『延々とヴィンテージ線を集めて聴く地獄』の刑期を過ごしているのである。



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