良いものも稀にあるのは確かですが、なかなか難しいです。現代的high fidelity 路線を狙っていて、かつオーディオのレベルが上がれば上がるほど品位と癖が気になるはず。むしろ本物のヴィンテージWEでも基本的には我輩はあまり食指は動かないのだが。
まずブラックエナメル。好きじゃないです。エナメルってなんだと思いますか?
本来は乾性油です。ニスですな。これは音は悪くないです。誘電率は4程度。そんなに低くはないが高くもない。静電気も起きにくい。振動を抑えつつ暖かい音を付加してくれる『事もある』。詳しくは次回『エナメルワイヤー論』をご覧ください。
対してブラックエナメル(なんやそれ)はポリウレタンに顔料と溶剤を混ぜたものです。誘電率は5~7でかつ静電気もバリバリ。実際音の癖スゴくないですか?特に現代的高額スピーカーには耐えられないと思う。スピーカーが偏り片寄った聞き方も偏ったJAZZならあるいは…でも今の若手には無理です。
次に錫メッキの良くあるやつ。新造品は聴いたことがないので置いておきます。そもそもあのmulti strandで石油系樹脂の絶縁体に綿のジャケットの物はWesternElectricは造っていない(お詳しい方には当たり前の話で申し訳ないが)。OEMのAIW社のですね。WEがケーブル造ってたのは相当古い話ですね。1920年代とか。
で、それのヴィンテージ版は無論散々聴いておるが変に作為的な音ではない点は良いが現代的な指標での高音質は望めない。やはり錫メッキの癖があり、錫メッキらしく高域が伸びず、少し品位に欠け、また本来ヴィンテージに(こうあって欲しいなあ)という自然さは絶縁体のお陰でないのである。
では続きのエナメルワイヤー論をお読みください。