単線vs撚り線vsリッツ線vs多芯2


スピーカーケーブル編ですな

スピーカーケーブルが一番難しいというのは前回お話ししました。最も要素が多いからです。ではまず『太さ』についてお話ししましょう

Q 極太がいいってマジ?

A 限度がある

あなたの使ってるアンプが何で、スピーカーが何なのかで太さの最低限は変わるだろうがあまり太くて良いことはない。またま音がハマる事はあるだろうけど。10スケや20スケなどはまず悪影響が勝る。

ネットワーク(crossover)。かなりの高級スピーカーならmundolfの最高級コイルが入っている。これは径3mmの線だが、ほぼ全てのスピーカーにはそんなものは入ってない。恐らく太くて1.5mm位。ダンピングファクターや挿入損失の前に聳え立つ壁だろう。

太いと低音は出るがオーケストラの楽器の位置関係などの奥行きは相当分かりにくいサウンドだ。


Q 論理的に(測定上)何がいいの?

A こんな感じです

下図はAVCテクノロジーの根岸氏の論理。氏は素晴らしい研究者で穴が空く程読み耽った。なお下のグラフは基本的には挿入損失(赤)が1/2の傾きで真っ直ぐなっていると癖がなく良い、とのこと。

だが我輩からすると完全とは聴感的に言えない。インダクタンスやキャパシタンスや周波数特性などで語れるなら苦労はない。

このスピーカーケーブル論は基本的にはf特的な話が主な論旨である。ここのケーブルは値段からするととてつもなく音がいいのは確か。帯域バランスは良く癖もない。情報量も多い。

だが高次に進んだオーディオファイルや特にクラシック系録音エンジニアが気にして止まない『位相』という観点はあまりない。ケーブルも奥行き等の観点は甘く音像は手前に来る。

振動の減衰の問題か?

モンスターケーブルやMIT社が言うところの『低音の位相遅れ』か?(モンスターケーブルはtime correct構造で特許を持ち、MITはさらにcircuitでそれを是正している。)

はてまた『スピーカーケーブルでスターカッドなど強力にインダクタンスを打ち消す構造は大体音に問題が出てくる』的なやつか?

まだ論理は実態に追い付かない。だが音色やバランスという意味では根岸氏のこの一連の分析はかなり的を射ている。

例えばステレオサウンド180号~にケーブルの測定が載っておりこの企画は白眉。この測定がかなり試聴者の感想と沿っており音色やバランスでは現実に則していることもわかる。(なお試聴者も位相という観点は無い…)

ちなみにワイヤーワールドの特性は強かった。

今やステサンも技術的な話は無くなりカタログでしかないが。


Q 多芯、リッツ、円筒形はどれがつおいの?

A 音はかなりわかりやすい特徴がある

円筒形。概ねハッキリとして明るく力強い。なお造りにくいので多くはない。表皮効果的には優秀でかつ近接効果、相互インダクタンス等の影響も受けづらい設計。

リッツ。良く言えば聴きやすい。悪く言えば位相的に怪しくぼやけ気味。1本ごとの距離が空いていないと素線間の相互インダクタンスと近接効果で言うほど特性は良くならない。なおcardasは90度に直交させるなどインダクタンス減少の為の工夫を凝らしている。

多芯は大体金はかかっているケーブルに多く、構造次第だが特性はいい(事が多い)。

多芯で円筒形というのもある。JORMAやSHUNYATAですな。下図はSHUNYATA。この1本1本が円筒ですな。SHUNYATAは電源コンディショナーは詐欺に近いがケーブルはガチっている。

しかし上記の構造や理屈以上に振動の影響の方が大きいまである。位相に関して超極細単線がやたらと強いのは電気的のみならず振動の収束の速さだろう。


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