はい、ボリュームですな。
本来オーディオに於ける屈指の癌。厄介物。絶対悪。音量調整が無いだけでかなり世界は平和になる。
此処では『ボリューム』は特筆なければ摺動可変抵抗の事を指します。アキュのAVAAもといAAVAや(ややこしいなコイツ…)トランスアッテネーター、デジタルボリュームなどは置いときます。
良く『プリアンプのボリュームは12時位で使え』などと言うが、馬鹿な話でそれに合わせたゲインのパワーアンプの買い、適当な能率のスピーカーを買い、更には部屋を改築するのか?となる。だがボリューム(A型)は12時付近が云々、というのは残念ながら正しいのだ。
理由は色々ある
まずボリュームの最大と最小付近は精度が著しく下がる。ギャングエラーってやつだ。左右で音量が変わる。ステレオ社会への挑戦でありMixへの冒涜である
ボリュームの質次第だけど摺動可変抵抗でそんなに良いものを使ってる機器は高額品でも多くはない。特に海外の高額アンプの原価率はどんどん下がっており今では中身がクソのような状態なのだ。普通に手に入るボリュームで良いものはアルプス電気のRK501あたりだが、アンバランス5万円、バランス10万円程度。そら高いけどさ、400万円、600万円のプリアンプでもそれが出せない物も多い。FMacousticsは2000円程、いや海外ハイエンドで一山幾らの電子ボリューム使ってるものも結構あるという現状である。いや、国内のプリも電子ボリューム一山幾らの物を使ってる。TAD とかesotericとかね。あれ、ばらしたら不味かったですかね?
電子ボリュームの音?悪いよ。『海外ハイエンドオオオオ!それ以外人権ないのおおおおお!』とか叫んでる奴は情弱かアホ
次に出力インピーダンスの問題。シールド線の容量がー、とかでローパスフィルターを形成して周波数特性と位相特性も変わり色々と具合が宜しくない。
ボリュームで一番音が悪いのは(普通は)3時位で、出力インピーダンスが最も上がりダメ。ボリュームって色々面倒ですね
http://www.op316.com/tubes/tips/tips27.htm
そんな摺動ボリュームを使うプリアンプも減ってきました。問題しかないからね。
では他の方法は何があるのか?
1.切り替え抵抗式
昔から有りますな。まあ回路も色々あって出力インピーダンスが変わるのも固定なのも色々有りますが少なくとも精度は問題になりません。ですがマトモな高音質固定抵抗でやるとスペース及びコストが掛かります。音量段数も粗くなる。極端な奴だと12段階しか切り替えの無いプリアンプもありました。キ○ゲェだなオメエ!?
なお上述の通り最近の高額オーディオ機器は電子ボリュームでこれを行ってますが草生える。何やら書き方は凄いんだけどね?言葉の魔法ですな。あとそれなりの規模の物でも高額プリで良くあるR2RラダーってDACならまだしもリレーと微妙な抵抗でやるとリレー自体の抵抗も高いしあんまり良くない。やっぱりこの方式やるならモーターとアッテネーターの組み合わせがBESTと思うの。
2.トランスアッテネーター
TVC(トランスヴォリュームコントロール)と海外では呼びますな。理想系の一つ。単巻き(オートトランスフォーマー)と複巻き(狭義のトランスフォーマー)がありますが今回は割愛。電気信号(電力)の多くを抵抗で熱として捨てず、出力インピーダンスも低く取れ、素材と設計と製造が噛み合えば最強の方法。
問題はウルトラなコストとサイズ。
パッシブだがフェーズメーション(ちょっとぼりすぎな気がするが)とラックスマンの最上位真空管プリアンプCL1000に搭載。偉いぞラックスマン!ラックスマンもTVCが理想とは思ってたけど高いから使えなかったのだろうか。なのでLECUAでお茶を濁していたのだろうか、と邪推。LECUA1000はリレーでの固定抵抗切り替えだが、安い奴はmuse()
あと海外だとイプシロン(700万)nagra hd pre(700万)
海外プリで人権は700万以上なのだろうか?
なおFM266のボリューム2000円
なお高額になる複巻きTVC(ノイズカット出来るのが利点)搭載プリは…あるのかな?思い浮かばない。
アンプじゃないけど海外では有名なbespoke audioが複巻きTVC。これ造りからすると相当安いと思うよ?(安いとは言ってない)
3.電流加算
アキュしか知らない。AAVA。
“音量とボリュームとプリアンプ” への10件のフィードバック
これは面白い情報ですね。
RK501を積んだエルサウンドのハイエンドボリュームコントローラーを買った方がマシということですね。
fundamentalのプリは評判よさそうですが、ベースはKhozmo Acousticの固定抵抗型?なのかなと思いますが、これの評価はどうですか。
コスト、品質は摺動ボリュームとしては現在生産では最高であるRK501には電子ボリュームでは到底勝てないでしょう。重要性に比してそんなに高い部品とは思えませんが…リモコンなどの利便性を重要視しているのでしょう。まあ顧客がそのレベルなのですな。
それのアッテネーターは聴きました。
アッテネーターとしては勢いがあり先鋭的な音だと思います。
しかしこれが難しいのです。
固定抵抗と摺動抵抗。
プリアンプとして仕立てたならまたちょっと別なんですが単体だと摺動抵抗のまとまりと厚みは自然なんですよね。余程の固定抵抗アッテネーターならばそれをも打ち破る圧倒的基礎性能でなんとかしてしまいますが(全部vishay varとか。原価的にそのような製品は存在しません。)
ハイエンドのエアータイトとかも良いプリをつくってますが、いさぎよくRK501ですものね。
私もサブシステムはRK501をつかったオーロラサウンドのPREDA-Ⅲを使用していますが、80~90万円台ではかなりの良いサウンドだと思います。二百万程度の外国産プリよりははるかによいと思いますね。アッテネーターは、音はクリアなのですが、なんか薄味で物足りなくなってきます。オーロラサウンドのPREDAの初代は80万円台のプリなのにトランス式ボリュームを搭載していたりして、オーロラサウンドの社長はそのへんをよく分かっていたと思いますが、三代目のPREDA-ⅢはあっさりRK501を導入して、ボリューム以外の回路も成熟して、結果的に更によくなっていました。
がぜんトランス式に興味が出てきたので、ラックスマンがトランス式のアッテネーターを出してくれることを祈ります。
オーロラサウンドは良いですね!
パーツに妥協がなく信じられないほど高い原価率のはずです
オーディオを知る人ほどバーゲンセールに思えるメーカーです
熟練のオーディオファイルでいらっしゃる
グルマン様こんにちは。
貴重な記事、いつも楽しく読ませていただいております。
当方ヘッドフォン環境で、現在MSB discrete DACから同社Premierヘッドフォンアンプにバランス接続し、DACのデジタルボリュームにて音量調整を行っておりますが、全体的に粗さやカサつきが気になる為、プリアンプまたはアッテネーターの導入を検討しております。
この記事にも挙がっているフェーズメーションのパッシブプリがとても気になっているのですが、グルマン様の評価はいかがでしょうか。
アドバイスいただければ幸いです。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
ご愛読頂きありがとうございます
おっしゃる通りMSBのボリュームはselectでも微妙です。ボリューム機構はオーディオのアキレス腱であり非常に難しいです。何故デジタル領域で下げると死ぬのか論理的にはわからないんですが、演算によるノイズ、歪みの類いなのでしょう。
さて、フェーズメーションCMシリーズですね
確かCM2000でしたかね、1000かも知れません。うろ覚えですがキッチリ聴きました。
結論から言うと良い製品です、コスパはさておき。
小音量をアッテネーターで、メインは単巻きトランスによるアッテネーションをした製品ですね。
この方式はノイズ低減能力はありませんが(複巻きのbespokeはノイズカットする)その代わり音が強靭でロスがありません。
そしてトランスが良いですね。単巻きトランスアッテネーターを色々やったのでわかります。多分コア以上に巻き方が良いのでしょう。癖がなく品位が高いです。
後はMSBとどうか、ですが
MSBのDACは色々聴いてますがいかんせん私はスピーカー族なのでヘッドホンアンプは聴いてません。その上でヘッドホンならほとんどのプリより上だと思います。また20万くらいのアッテネーター
トランスアッテネーターでは悲しいかな敵わない次元にあります。他に色々候補を考えましたがMSB(好きです)の強さを殺さない最適解の気がしてきました。
後は何を求めるかですね
『とにかく徹底的微小信号を聴きたいー!』というならば凄い抵抗、vishay VARとかを使ったアッテネーターのほうが上です。その代わりパワーが劣ります。
分かりやすく教えて下さりありがとうございます。
グルマン様の評価も高く、好みにも合いそうですので近いうちに導入したいと思います。
現行のCM-2200の他に、12月にはCM-1500なる下位モデルも発売となるようでそちらも気になりますが。
なるほど、下位とは言えない品ですね
かなり賢くコストダウンしてます
音が悪くなる理由が思い浮かばない内容ですね
なるほど、CM-1500はすごく良さそうなのですね。
以前記事で書かれておられた、プリは同じメーカー内ですらヒエラルキー通りでないこともザラ。という記述を思い出しました。
CM-1500も選択肢に入れて検討したいと思います。